一番印象を変えたのは、目だった。実里の目は、もともと少したれ目気味。それを整形で少し吊り上げて、化粧でもっと吊り目に見えるようにする。眉の形も変えた。「え、これ、髪の毛だよね?」「そうだよ。後頭部から採取して、移植した」そんなことができるのかと実里は感心したが。「伸びるのは早いし、ちゃんと小まめにカットするんだよ」頭髪だから普通の眉毛とは違うのだと注意を受けた。.「本当に切るのですか?」髪をまとめられながら、美容師は実里に聞いた。「今ならまだやめられますよ」「バッサリ切ってください」実里が答える。実里の髪は背中の中ほどまである。長い間ずっとこの長さだった。「後悔しませんか?」(……後悔、か)実里は鏡を見る。ふわふわした髪の毛。纏めるのが面倒で、特に雨の日はストレスの元だった。それでも伸ばしたのは、広海が好きだったから。――俺が毎日手入れするから。(嘘つき……)長く適当にケアした髪は傷んでいる。それに、広海に関することは残しておきたくない。「切ってください。後悔なんてしません」美容師は渋々承諾した。恐る恐る実里の髪に触れ、最初に鋏を入れたとき目がしっかり開いていなかった。おかげで指定した場所よりも1センチメートルほど上で切られたが、実里は何も言わなかった。誤差範囲だった。一度切ったら覚悟が決まったのか。規則的な鋏の音。長い髪がどんどん切り落とされる。最終的に、髪は肩につかない程度のワンレングスのボブになった。首元が妙に軽い。実里は思わず自分の首へ触れた。「……すごい」「何が?」「頭が軽い」「そこ?」「大
Last Updated : 2026-10-06 Read more