純生の言う「楽しませる」が何を意味しているのか、星奈には分からなかった。 その言葉を口にした純生から、じっと意味ありげな視線を向けられているうちに、星奈の表情には先ほどまでとは違う恐怖が滲み始める。 襟元を掴んでいた手をそっと離し、今度は身体に掛かっていた布団を慌てて胸元まで引き上げた。純生の視線から少しでも多く身体を隠そうとするように、両腕で布団をきつく抱え込む。 警戒を露わにして身体を守ろうとするその仕草も、純生にはただ滑稽にしか映らなかった。「ははっ。お前、まさか本当に、俺がお前の身体に興味を持ってるとでも思ってんのか? 気持ち悪いんだよ」 以前のわがままな令嬢だった頃の星奈なら、こんな言葉を投げつけられた瞬間、黙って耐えるはずなどなかった。 それなのに今は、まるで自分に身体を狙われているとでも言いたげに、怯えきった態度を見せている。 その姿を目にしているだけで、純生は吐き気がするほど不快になった。 星奈がいつまでこんな芝居を続けるつもりなのか。 どこまで追い詰めれば耐えきれずに化けの皮を剥がすのか。 確かめてやりたいという思いが、胸の奥からじわじわと湧き上がる。 純生はおもむろに手を伸ばし、星奈が胸元へ抱え込んでいた布団を乱暴に奪い取ると、ベッドの脇へ放り投げた。 その勢いのまま大きく一歩踏み込み、両膝をベッドの上につく。 真正面から星奈と向き合い、逃げ道を塞ぐように上半身をわずかに傾ける。片手を彼女のすぐ傍らへつき、その身体へ覆いかぶさりそうなほど距離を詰めた。「……やめて!」 布団を剥ぎ取られた星奈は、弾かれたように全身を縮こまらせた。 大きく見開かれた瞳が、ゆっくりと距離を詰めてくる純生を追っていた。両腕を咄嗟に胸元へ引き寄せ、身体を守るように小さく縮こまる。 頭の中にはまだ霞がかかったような朦朧とした感覚が残っていた。熱のせいで頭痛は途切れることなく続き、思考もひどく鈍っている。 どうして突然こんな状況になったのか。純生が何をしようとしているのか。何一つ整理できないまま、不安だけが膨らんでいく。「何だよ。ちゃんと抵抗しないと、本当に俺に抱かれるかもしれないぞ?」 その言葉に、星奈はびくりと肩を震わせた。逃げようにも逃げ場はない。ただ身体を強張らせ、浅い呼吸を繰り返すばかりだった。 そんな反応が、純生にはま
Last Updated : 2026-08-20 Read more