写真を送りつけた直後、純生のスマートフォンが再び鳴り始めた。 意味ありげな薄笑いを浮かべたまま、わざと数回着信音を響かせてから電話に出る。その声には、相手が何を言おうとしているのか、すでに分かりきっているような確信が滲んでいた。「どうしたんだ、兄さん。すげえ笑えるだろ?」 電話の向こうで、純希はほんのわずかな間、何も答えなかった。 急かすことなくスマートフォンを耳に当てたまま返事を待ちながら、その視線は静かにプールの中央へ向けられる。一目見ただけで、星奈がひどく衰弱していることは明らかだった。 昨日、星奈がここへ連れてこられたとき、自分でも、ここまで容赦なく一人の人間を傷つけることになるとは思っていなかった。 だが、目の前にいる星奈を見れば見るほど、胸の奥で燻り続けていた怒りは際限なく膨れ上がり、もはや抑えようとしても抑えきれない。 星奈に裏切られたと知ったあの日の絶望と過去の記憶は、獲物に絡みつく毒蛇のように身体へまとわりつき、振り払おうとしても決して離れず、何度も鋭い牙を突き立てては心の奥深くへ新たな傷を刻み続けていた。 そればかりか、純希が時折見せるほんのわずかな迷いや揺らぎさえ、純生の憎しみへ絶えず薪をくべる。 兄が星奈へ少しでも情けを向けるたび、自分が彼女へしてきたことなど、まだ生ぬるいのではないかと思えてしまう。 その優しさに流されやすい性格を、純生は幼い頃から誰よりもよく知っていた。 だから昨日から今日にかけても、純生は兄の気持ちを何度も試さずにはいられなかった。まるで、何度も同じ問いを繰り返し、自分の望む答えだけを確かめようとする意地っ張りな子供のように。 純希が少しも揺らぐことなく、自分の側に立っている。 その揺るぎない事実を、純生は何度でも自分に言い聞かせるように確かめずにはいられなかった。 長く重たい沈黙の末、ようやく純希が静かに口を開く。 電話越しに聞こえてきた声は、なぜかひどく掠れ、わずかに疲労さえ滲ませていた。「純生、ほどほどにしておけ。あんな女のために、お前が自分でも嫌うような人間になるのは見たくない」 人を傷つけることには、純希は昔から慣れていなかった。 どれほど憎い相手でも、目の前で一方的に痛めつけられる姿を見続けていれば、胸の奥には鈍い痛みが積もっていく。 だからこそ純生の変わり果てた姿を
Last Updated : 2026-08-15 Read more