All Chapters of 僕のお母さんは△▽女優: Chapter 111 - Chapter 120

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俺と母ちゃんの富士五湖修行 4話

高速道路を西へ西へと進む俺たち。甲府南インターチェンジに降りる予定が間違えて通過してしまい、母ちゃんは慌てふためいていた。運転もやや小刻みに左右してるので焦ってるのが目に見える。「直輝ー、どうしよー!母ちゃんペーパードライバーだからこんな時どうすればいいのかわかんない!」母ちゃんもまだまだ若い。だって32歳なので俺くらいの子供がいるのが珍しいくらいだ。いつもはしっかりしてるけど、こういう時は年相応だなとおもってしまう。俺もルートが変わったので現在位置と目的地への照合をしつつ思考こらす。「あ!甲府昭和だって!ここで降りて引き返そうかな?」「いや、このまま突っ切ろう。」「え?どうして?」俺はルートを眺めて効率も大事だけど……もっと大切なことに気がついたのだ。「さらに先に双葉があるんだけど、そこから身延という地域に南下して六郷というインターチェンジで降りてから、迂回しても本栖湖に着くことができるみたいなんだ。引き返すよりも効率がいい。」「そうなんだ!さっすが直輝!」「もうひとつ……実はこのルート、素敵なルートみたいなんだ。」☆☆高速道路を進んで、ナビの赴くままに進んで言った俺たちは谷の狭間のような身延と呼ばれる街について行った。山々に囲まれて、川が流れ、絵に書いたような自然の風景が普段の都会の喧騒になれた俺たちの目を癒して言った。都会というのはあまりにも不自然な世界なのかもしれない。安心感と開放感が全身を包み込む。「ふー!何とか高速道路降りれたわ〜。直輝いて良かった!」「まあ、これくらいは任せてよ。」「そうね。このまま東北に行けばいいのね。」「うん!」高速道路を下りると、速度で圧迫された鼓膜が緩み聴覚が落ち着く。今車の中では曲が流れている。それは、backnumberの「大不正解」という曲だ。実写版銀魂のエンディング曲でアニメしか見ない俺でも知っている。子気味良いドラムのリズムとかっこよさが入りまじるギター、そして優しい語りかけるようなボーカルが特徴的な曲だ。サビで「僕らは完全無欠じゃない原型を愛せる訳じゃない」という個性の歪さを分かち合うような歌詞は行動力の母ちゃんと冷静な俺の個性のぶつかり合いと支え合いを表現しているようだった。道を間違えたから「大不正解」なのだけれども、それでも道があるのだから世の中は本当に
last updateLast Updated : 2026-08-16
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俺と母ちゃんの富士五湖修行 5話

車を走らせると、いよいよ本栖湖とのお別れである。とても良い湖だった。何度でも行きたい、そう思わせてくれる。「へー、本栖湖ってヒメマスっていう固有種が食べられるんだね。」「マス!?……くぅ、お腹空くな〜。」いよいよ今日の目的地である精進湖はあと少しである。ただ泊まってもいいとは思うけど俺もお腹が空いている。「ひとまず、目的地のホテルまで行ってみてから美味しそうなお店があったら寄ってみる方向でいいかな?」「ありそうかな〜。」「あるみたい!精進湖の入口に……ほら!」俺はたまたま見つけた近くのお店を母ちゃんに見せる。「へー、鹿カレーに……ほうとう!?やばい、わたし山梨に来たくせにほうとう食べてないわ!」「じゃあ……決まりだね!」俺たちはCX5を北に走らせる。曲はそうだな……この曲にしようかな。「あ、これ聞いたことある!」車で流した曲は涼宮ハルヒの「God knows...」。今回泊まるホテルが宇宙人未来人超能力者が出るということで完全に俺の脳ミソはハルヒとなっていたのだが、普通にこの曲も好きだった。時折流れるギターソロのパートがかっこいいのと、どこか共に歩んでいきたいというハルヒの弱々しい部分を見せつつ、ロック調の曲で彼女なりの生き方の覚悟が垣間見えるのがいい。「ん?母ちゃんってハルヒ見たことあったっけ。」「無いけど、前のAV監督がしょこたん好きでさ〜。よくカバーしてる方を聞いていたの。」そうか、そういう知り方もあるんだな。俺の好きな曲を知ってるのは嬉しいものだ。曲は一気にサビに行く。それと同時に、車も加速をしていく。「ねえ、ハルヒってどんなキャラなの?かわいいの?」そっからか、と少し肩を透かしつつ敢えてシンプルに答えてみることにした。ハルヒがどんなキャラ?そんなの一つである。「母ちゃんみたいなキャラかな?行動力あるし、やりたい事を勝手に叶えちゃうし。」「何それ〜、じゃあこんどそれのコスプレしよーかなー。」「うん、それはやめようか。」ハルヒのコスプレをした母親をみるなんてなんて罰ゲームなのだろう。あれ、車酔いのせいかな。リバースしかけてきた。そんなこんなで目的地のお店に着く。まだ精進湖はみえなかった。☆☆俺は鹿カレー、そして母ちゃんはほうとうを頼むことした。座ってから15分しないくらいでテーブル
last updateLast Updated : 2026-08-16
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俺と母ちゃんの富士五湖修行 6話

俺たちは精進湖の前のホテルに到着をした。湖を見ると、先程の富士山がみえる。「へー!ここも富士山綺麗じゃん!」「そうだな、それにしても……あの富士山の小さな山はなんなんだろうね。」本栖湖と比べると、明らかな違いとして手前に小さな山がある。青い富士山と、緑色の山が色のコントラストを出している。一先ず、俺たちはホテルに入ることになった。「いらっしゃいませ。」「あの、予約していた天野です。」「天野様!お待ちしておりました。202のお部屋のキーですね。お支払いはチェックアウトの際にお願いします。」なるほど、ホテルのチェックインってこんな感じなのかと驚いてしまう。旅行なんて小中学校の修学旅行くらいしか無かったのでこれはこれで良い経験だと思う。後ろを見ると母ちゃんが目をキラキラさせていた。「ああ……ドラマで見たのと同じだ〜!最高!」そういえば、ここはドラマの聖地だった。母ちゃん楽しみにしてたもんな。ノスタルジックで歴史を感じさせる作りは、このホテルの長い歴史そのものもを語っている。清掃は隅まで行き届いていて、温泉もあるみたいだった。そこを抜きにしても、ここは湖も綺麗だし良いところである。「あの!高速で走れる宇宙人いますか!」「え……?宇宙人……?」俺は母ちゃんの口を手で抑える。「あー、ごめんなさい!ドラマの聖地らしくて舞い上がってるんですよ!すみません!」「いえいえ!ドラマのおかげでうちのホテルも問い合わせ多いんですよ!」どうやら、話を聞くとこのホテルの従業員が宇宙人の設定だったらしく、俺の母ちゃんは素直にそれを聞き入れてしまったようだった。フロントの方とは話のきっかけが出来たので俺も気になることを一つ聞くことにした。「すみません、あの富士山は本栖湖のものと随分違いますね。」すると、女性は待ってましたと言わんばかりににっこりと教えてくれた。「あれはですね、子抱き富士って言うんです!」「「子抱き富士?」」「はい、あの緑の山を富士山が抱っこしている親子のようだと言う様子から子抱き富士と言われてるみたいですよ!たまに風が凪いでたら逆さ富士もみれます。」子抱き富士、親子なんだな。こうして見ると赴き深い、青い富士山が母ちゃんで、小さな山は俺のようだった。そこを湖が綺麗に照らしている。今日俺達が泊まるにはここ以上の場所が見
last updateLast Updated : 2026-08-16
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俺と母ちゃんの富士五湖修行 7話

コトン……ガラス張りの窓は闇夜に紛れ、まるで黒い壁のようだった。そこに、温泉に入る俺の姿が映し出される。自分の顔ってとても不思議だ。他の人はただの他人だと認識するのに、自分を見ると複雑な気持ちが湧いてくる。俺の顔は、痩せ型で以前よりもクマが減っている。目鼻はくっきりしていて、昔見た自分の顔よりも余裕があるような顔だった。そうか、顔って人柄を移す鏡のようなんだ。きっと、変わろうと努力すると人は顔立ちが変わるのかもしれない。まあ、それはさておき……とにかく温泉が気持ちが良かった。お風呂だと湯冷めが早いのだけれど、温泉だと芯から温まるような感覚があって心地いい。「たまに1人で温泉行くのもいいのかもしれないな。」そういって、俺は温泉を後にした。「戻ったよ〜。」「あら、早かったのね!」「母ちゃんは風呂戻るの早くないか?もっと味わってもいいんだぞ?」「実は母ちゃんのぼせるのが早くてね。」「そうかい。」母ちゃんは小さいおちょこに日本酒とイカそうめんなどを片手にブログを書いていた。「どう?ブログの方は。」「うん、いい感じ!談合坂で投稿したものは……いいねが150件ついてる。」「150件!?」いやいや、スタートとしては順調過ぎるだろ!何をどうしたらそんないいねを貰えるのだろう。「……母ちゃん?ちなみにアカウント名はなんてやってる?」「え?橘遥香だけど?」「それだぁぁぁぁぁ!」母ちゃんは元々数万人のファンを持つ人気AV女優……それがブログを始めたなんてきいたらコアなファンはチェックするのも無理はないと思う。「いや〜、AVやめて歳をとっても人は私のことを好きで居てくれるんだね!ありがたい。」「そのメンタルあれば何でもできそうな気がする。」普通はAV女優やってたなんて黒歴史化する人がいる中、母ちゃんは敢えて強みに変えているのだ。あまりにも覚悟が決まりすぎたその姿勢に脱帽せざるを得ない。「ねね!そんなことより見てよあれ!」母ちゃんは窓の方に指を指す。俺はその先を見ると漆黒の暗闇の中月明かりで照らされた子抱き富士と精進湖があった。今日は満月なので湖の形まではっきりと見えている。「すげー綺麗だな。」「ね!これをみながら飲む日本酒は最高よ!山梨って水が綺麗なのか透明感があって柔らかい味わいしてる。」「ごめん、未成年なので
last updateLast Updated : 2026-08-16
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俺と母ちゃんの富士五湖修行 8話

チュンチュンチュン……いつもよりも鳥のさえずりが多く聞こえるのは、自宅よりもここが自然豊かな土地なのだろう。ダブルベッドを見ると母ちゃんはシャワーを浴びていた。いつも母ちゃんは俺より早起きだ。俺よりも母ちゃんが遅く起きることなんて決してない。俺は惰性でスマホを見る。すると、いつも通りみんなからラインが来ていた。舞衣がデートに行こうといってくれていたり、飯田が笛吹さんのだらしなさに対する愚痴のLINEが来たりと中々賑やかになっている。気がつけば夏休みももう少しで終わりだ、もっと色々できたことがあったかもしれないけど、バーベキューをしたり旅に出たりとたくさんのことが出来た。夏休み明けにみんなに会うのが楽しみで仕方がない。そんな中、1人だけ電話の着信をくれた人がいた。医学部志望の不良でいつも勉強を教えてくれる虎ノ門龍だ。彼はバーベキューでもいなかったし、正直今何しているか気になっていた。俺はその折り返しで電話をかける。すると、すぐに電話がかかった。「もしもし、龍君?」「久しぶりだな、なおっち。」「そうだね、夏休みほとんど会えなかったもんね。元気にしてた?」「……なかなか勉強伸び悩んでいてな、昨日も徹夜で勉強していたんだ。でも、模試の点数は東大は厳しく、千葉大も微妙……ちょっとその愚痴の電話だったんだ。」彼は医学部かつエリート大学志望である。彼は不良らしく暴れるか、もしくは優等生らしく人一倍頑張りやな面がある。受験は……点数があるものが勝ち残る競争だ。ハードコースの彼にとっては今からでも受験の競走は始まっているのだ。無理はしないで欲しい。「また気軽に家においでよ、勉強の力になるか分からないけど……今の君は弱ってるよ。ちゃんと寝て、ちゃんとパフォーマンスが最大限発揮できるようにしよ!」「そうだな……うん、お前に相談してよかったよ!ちょっと寝るわ。」「うん、また。」そういって、電話が途切れた。久々に彼と話せて嬉しかった。俺が勉強ができるようになった一番の功労者なのだから。「あれ?直輝起きてる?」バスルームから母ちゃんが出てくる。髪が濡れていて、それでいてほとんど下着のような格好だった。俺は即座に窓の方向を見つめる。「服きて。」「はいはい。」母ちゃんは少し褐色のきれいな肌を服で隠し、濡れた少し色あせた金髪をドラ
last updateLast Updated : 2026-08-16
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俺と母ちゃんの富士五湖修行 9話

カララン。レトロなドアの鐘が鳴る音が聞こえる。その瞬間に、お店という空間に入ったのだと一気に気分の切り替えが行われるのを感じる。「いらっしゃいませ。」店に入ると、60を超えたダンディーな男性がこちらを迎えていた。「2人で。」「2名様ですね、席へご案内致します。」俺たちは老人に奥の席に案内される。「直輝?座らないの?」「母ちゃん……奥の席に座っていいよ。」「お〜?遂に直輝もレディーファーストできるようになったか。舞衣ちゃんには感謝だね!」「まあ……そうだな。」俺の彼女、佐倉舞衣は結構厳しい。基本的に道路沿いを歩いて欲しいし、食べに行く時は上座に座りたがる。案外、女性とお付き合いするってマナーの小さな努力が必要だと感じた。そのおかげで、俺は無意識に母ちゃんにレディーファーストができたのだ。「はっはっは、若いのに……しっかりしてますね。」マスターは優しそうな糸目の目尻を上げて、ほうれい線にシワを作って静かに笑っていた。「でしょー!自慢の息子なんですよ!」「ははは……!自分の子どもの成長は嬉しいものですな。ではこちら……お冷でございます。」マスターはいつの間にか水を差し出してくれた。水はしっかりと冷えているのか、グラスが少し霜が立ちそうになっていた。俺たちは、グイッと水を飲むと……それだけで驚愕をしてしまった。「この水……めちゃくちゃ美味いですね!なんというか……めちゃくちゃ舌触りが滑らかで水道水に比べて甘いように感じます!」「はっはっは!お見事ですね。実はこの水……ここで取れる湧き水を使っていて、ミネラルが含まれていんだよ!」マスターは、水にもこだわっていることに気がついて嬉しそうだった。それだけ、この水は美味いのだ。「凄いですね……これで飲んだコーヒーはさぞ美味しいでしょう。」「ええ……大事なのは素材の良さと、どう活かすかの2つだと考えています。」「すごいな……長年やってきた賜物ですね。」「ははは、お若いのにお口が達者ですな。さて、このコーヒーのオススメブレンドをご用意しているのですが……いかがかな?」「「是非お願いします!」」俺たちの期待値は上昇する。これで飲むコーヒーがまずいわけが無い。「承知しました。フードメニューはどうされますかな?」「じゃあ……私はこのベーコンレタスサンドで!」「俺は……
last updateLast Updated : 2026-08-16
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俺と母ちゃんの富士五湖修行 10話

西湖のほとりで車を走らせる俺たち。その道は、どこか落ち着いていて山並みの緑の乱反射が湖を照らしている。窓を開けているので風の音と木が揺らぐ音もしていて、葉っぱの青みがかった香りがより自然の中にいることを伝えている。この素敵な湖とももうお別れだ。気がつけば、この富士五湖の度も3つ目が終わろうとしていた。「直輝、次はどこになるのかな?」母ちゃんは基本的にナビの設定が苦手なので俺が設定をする。次の目的地は……えーっと……。「河口湖だね。」「高速でも表示あったね、河口湖……じゃあ最後は山中湖?」「正解、そのルートで行こうかなって思ってる。」「了解!じゃあ……ひとまず河口湖だね!」林道を抜け、峠道のようなところを抜けると、そこには広大な湖があった。余りの広さに俺も絶句してしまう。ちなみに河口湖は富士五湖の中でも開発が進んだところなので、人々と自然が調和した……そんな湖になっていた。「あ、母ちゃん……あそこに公園あるよ。そこ行こうぜ。」「了解!」車を停める。そこには建物があって併設のカフェがあったり近くにはホテルやコテージもあるようで、比較的人気の場所のようだった。花畑が手前にありその先に河口湖がある。そして、視線の先には雄大な富士山があった。河口湖周辺は開けた土地なので富士山の全貌が良く見えていた。「すごい……やっぱり富士山って大きいわね。」「小学生みたいな感想だな。」「いーじゃん!大きいものは大きいんだし。」この公園は、とにかく花畑に力を入れていた。1面が富士山の麓のように真っ青の花畑もあれば、黄色、オレンジ、白、紫などの色が1列に並んでいる花畑もあり、奥には不規則に咲き誇る花畑もあり……どれも趣深く感じる。目を閉じると湖の波の音も心地よかった。「いい公園だね。」「ええ、私花結構すきかも。」「まあ、母ちゃん一応女性だしそう感じるかもな。」「一応、は余計ね。形とか……色だって生きてる感じが好きかも。香りだって……優しく癒されるようなこの甘い香りが好き。」母ちゃんはしゃがんで花を愛でる。ゆっくりと自然に触れ合える時間もなかったし、新鮮な気持ちなのだろう。「母ちゃんは花の中で何が一番好き?」「んー、難しいわね。色とか形だと彼岸花とかかな。」俺は彼岸花がピンとこなかったので検索をする。すると、紅い花が不気味
last updateLast Updated : 2026-08-16
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俺と母ちゃんの富士五湖修行11話

河口湖の湖畔をすすむと人々との生活の調和が伺える。例えば、今は湖の真ん中で橋がかかっている。湖の真ん中からの景色もなんとも絶景の一言に尽きる。「そういえば、母ちゃんブログって書いてるの?思ったより書いてるとこ見ないんだけど。」俺は一つ気になった。取材のための富士五湖修行、母ちゃんには書いているところをこんなに近くにいるのに見ていない。これじゃあただの旅行じゃないか?なんて無粋だけど気になってしまう。しかし母ちゃんはニヤリと不敵な笑みをうかべた。「ちっちっち……わかってないな〜ワンコくん!」「エヴァのマリ好きなの?この前もコスプレしてたし。」ワンコくんなんて呼び方……絶対使わないよ。元ネタが分かりやすすぎる。「ま……まあマリは好きよ。そんなことより……実は朝に投稿してましたー!直輝が寝てる間に!」「まじか!すげえ。」母ちゃんは相変わらず行動力の鬼だった。この黒く走るCX5の静かになるディーゼルエンジンのように、静かに……それでも前に進んでいたのだ。「反響はどうよ。」「まあ、まだ200人からしかフォローきてないわ。まだまだ知名度は低いわよ。」結果が出ていないというのに、母ちゃんはどこか嬉しそうだった。まあ、それでもブログ始めてその結果は上澄みも上澄みなんだけどね。車の曲が切り替わると、「めざせポケモンマスター」が流れる。最近出た、ファーストテイクバージョンである。「うわ、懐かしい!母ちゃん世代なんだっけ?」「いや、ババア扱いするな〜!一応これでもギリルビー・サファイア世代に入ります〜!」「母ちゃん……多分、俺はXY世代なんだけど。」「え……。」母ちゃんの表情が凍りつく。そんなに歳を感じることが恐ろしいのだろうか。しかし、この歌もただの古いアニソンかと思ったけど、こうして聞くと良い曲だった。特に、最後のサビに入る前に少し音が静かになって「夢はいつかホントになるって誰かが歌っていたけど、蕾はいつか花開くように夢は叶うもの。」なんて、ありきたりで臭いセリフだと思うんだけど、どこか夢を探し求めてる俺の背中を押してくれるようだった。「凄いよな、サトシって20年も上手くいかないことばっかだったのに、それでも諦めないからチャンピオンになったんだもんね。」「え!見てたんだ、私アレ見てめちゃくちゃ泣いちゃった。」俺も母
last updateLast Updated : 2026-08-16
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俺と母ちゃんの富士五湖修行 12話

俺たちは山中湖にある施設に着いた。ここにはコテージやキャンプ場、バザーまである。ハンモックカフェに行く予定だったがその前にバザーでお土産を探していた。「へー、やっぱり山梨といえばほうとうが人気かな。」「んー、色々あるわよ。例えばきな粉と黒蜜が美味しい信玄餅だったり、山梨の高原で取れたブドウから作られる甲州ワインだったりね!」確かに、品ぞろえは多種多様だ。これはみんなに持っていったら喜ぶかもしれない。ワインは買えないけど…いつか欲しいものだ。「それじゃあ…私はこのワインかな。」母ちゃんが選んだのは、白ワインだった。金額はそこまで高くない…というか、価値がよく分からなかった。「母ちゃんワインなんて飲むんだね。」「たまにね〜、悪酔いしちゃいがちだけど…少量なら体にいいのよ!たとえば…赤ワインの赤の色素のポリフェノールなんかは…かなり健康としての価値が高い色素なのよ!」なんだろう、急に母ちゃんが頭良く見えてきた。ワインと言っても、ブドウの品種が違う。よく聞くシャルドネとか、ソーヴィニヨン・ブランなどの名前のブドウを使っている。それをブレンドしたり、樽かステンレスで発酵する事で香りも変わるみたいだった。「んー、なんとなくはわかったけど…やっぱ分からん。」「あはは、難しいわよね〜。まだまだ未成年ですもん。」「なんかムカつくな。」「じゃあ…このワインは3年後に直輝が大人になった時に飲もうかしら。」母ちゃんは少し高めのワインを手にした。「そういえば、なんで何年も熟成するの?意味あるの、それ?」「んー、難しいわね。時間を置くと…角が取れるというか、味わいがまろやかになるから、ブドウの良い味がより感じられるのよ。だから価値があったりする。これは3年後の楽しみよ!」母ちゃんはルンルンと踊り出しそうな軽い足並みでワインをレジへ持っていく。俺は今回悩んだあげく…吉田うどんにすることにした。ほうとうは夏に食うには熱すぎる。吉田うどんのこしのある麺を冷たいツユでチュルンとすすってもらうのだ。そして、俺たちは一旦お土産を車へ置いていこうとする。「いや〜いいワイン買ったわ〜。あ、次いでにワインセラー買おうかしら。」「どんだけ金あるんだよ母ちゃん。」「そんなにないわよ〜。」「いやいや〜数千万の資産くらいはあるんでしょ。」「あ、それより
last updateLast Updated : 2026-08-16
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俺と母ちゃんの富士五湖修行 13話

俺がハンモックに乗ってから1時間ほど経っていたのだろうか。俺の脳は…覚醒しきれてないけど何処か体が休まった時特有の体が軽い感覚がある。目が覚めると母ちゃんはそこにはいなかった。「あれ…母ちゃん…?」荷物はあったので遠くに入ってないはずだ。少し休憩でも入れたのかな?スマホをみると、いつも通りの友達の通知しか来ていなかった。俺はゆっくりと体を起こして、またテーブルに座った。頭がボーッとするのでコーヒーを頼んで、少しずつ飲んで行った。美味しい。コーヒーはクリームと砂糖を入れるのだけど、寝起きは尚更美味しく感じる。頭が落ち着いて、スッキリして…香りが体のエンジンをかけてくれてるような感覚だった。ひぐらしが鳴いていたので、自然と夏の終わりを感じる。富士山が赤く照りつけており…もうすぐ夕方の時刻なんだと認識する。この夏は…いろいろあった。勉強したり、キャンプしたり、旅行に行ったり……今まではゲーム一択だった俺の人生に初めて道ができたようだった。暗いトンネルを抜けて、様々な道を選べるようになったように…進んでみると、予想よりもたくさんの景色が見れたように。最初は母ちゃんと二人三脚から……徐々に仲間が増えて言って、随分賑やかになったもんだ。そんな夏休みももう少しで終わる。寂しいけど、次のページが楽しみになるようだった。次はどんなストーリーが待ってるのだろう。しばらくすると、後ろから人の気配がした。「あれ、直輝起きてたんだ〜。」「母ちゃん…どこに行ってたの?」「ああ、普通にトイレよ〜。帰り道にちょっと迷っちゃった。」すると、2人を湖と富士山から流れる赤い陽光が一際強く色を放って俺たちの目を奪った。「富士山綺麗〜!……楽しかったわね。」「うん、なんか夏休みの最後にはとても良い1日だった。誘ってくれてありがとうな。」「こちらこそ!おかげで沢山ブログ書けたし、マンネリ化した私の日常の解消にはなったわよ。」「マンネリ化してたんか。」「そりゃそうよ……!さて、帰ろっか!」「うん!」俺たちは夕日の森を進んでCX5を見つけると、ゆっくりとエンジンをかけた。車は静かに心地よくエンジンを鳴らすとゆっくりと進んでいく。「で、直輝…こっからどう帰ろっか?」「んー、近くのインターから高速入って……大月JCTから中央道で帰れば同じルートで帰
last updateLast Updated : 2026-08-16
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