夏だと言うのに体に寒気が感じる。今何時だ、という明らかに狂った時間感覚に踊らされ、飢えと寒さが体を襲う。俺は虎ノ門龍。学校一の不良にして、学校一の優等生という背反する2つ名を持つ男だ。なぜ俺がこんなにも勉強してるのかと言うと理由はひとつ。ガンで亡くなった母ちゃんを目の前にしてから、命を救う名医になりたい。そう決まってからは俺はひたすらに非行と勉強を繰り返していた。非行をする理由は、特にない。歩いていたらものがぶっ壊れるし、抗争が何故か起きてしまう。明らかに俺に原因があるのだがそこを探るくらいなら勉強に当てた方が合理的だからだ。そして、俺の心情は荒れに荒れていた。俺は学校ではトップで99点の人間なのかもしない。しかし、医学部を志望する奴らは平気で100点のその先にいるのだ。全国模試を見ると、俺は井の中の蛙もいい所だった。希望の千葉大医学部は…B判定。そして、東大医学部は…C判定か。医学部を受けるというプレッシャーが常に俺を襲う。俺は少しでも結果を変えるように勉強をするが、それでも紛らわすことさえできなかった。身の丈に合わない大きな目標とは恐ろしいものだ。しかし、こういう時こそ孤独でいなければならない。俺はみんなよりも1歩先を行かなきゃ行けないから。そんな時、スマホの着信が流れる。ちっ、電話かけてくるんじゃねえよと理不尽な怒りを覚えつつ相手を見る。そんな時、スマホが鳴った。電話の相手はエリカ。ナンパして仲良くなった女。たまに暇してる時に1時間ほど電話をかけてきたり、会っては飯を食ったり、時には体を重ねる程度の中だった。今回の電話もどうせ愚痴だろうと、少し気だるげに応答の所をタッチする。「もしもし?」「あ、龍?」おっとりしてるようで、ちょっと軽いテンション。今日も騙されてるか、それともおじさんでもふっかけて騙してるのか分からないテンションである。電話をかけてる時は不機嫌で話を聞いてほしそうな時が大半であるのだが、今日の声は違った。「私ね、今日をもって龍を卒業します!」「は?」「本当に好きな人ができたの。今度はちゃんとした人で、結婚も考えてるんだ。今までありがとう。」「……そうか、元気でな。」ツー、ツー。……何も言えなかった。どうでもいい女だと思ってたのに、なぜか心にぽっかり穴が空いた。会っ
Last Updated : 2026-08-16 Read more