チリリリーン「ご主人様のご帰宅です。」「「「お帰りなさいませ!ご主人様!」」」一人の男が慣れた動きで店に入店をする。年齢は50近くの男性、仕事は確かIT系の仕事をしている。結婚はしていないとの事だ。ちなみに、彼は13年通い続け、ざっと計算しても四千回以上、私に会いに来ている。「ふっ……ここは変わらないね〜。」「ご主人様!メニューは何にされますか?」人気メイドの舞衣ちゃんが代わりに接客をしてくれる。この子は最初は虐められていたけど、何らかのきっかけで乗り越えてからイキイキと仕事をしている。珍しい、メイド喫茶を10年と4ヶ月働き続けた私にとってはいじめの対象になった子は物を盗まれたり、掲示板である事ないこと書かされて辞める子飛ぶ子なんてザラにいる。「もちろん……ドリンクセットでアイスコーヒー、チェキは……ことねちゃんで。」「おお!やっくんご主人様〜今日もことねさんに会いに来たんですね〜。」「もちろんさ!あ……でも舞衣ちゃんも素敵だから舞衣ちゃんとのチェキもお願いしてもいいよ。」「もう〜やっくんご主人様はDD(誰でも大好き)なんだから!」やっくんご主人様はとにかくお店の為に貢献してくれる。人気の独占よりも売上を気にしなきゃ行けない。私は神宮寺ことね、28歳。このメイド喫茶で1番人気のメイド長である。今は私の撮ったチェキにお絵描きをしていてその作業に追われつつ、伝票管理で手が離せなかった。メイド長という役職故に秋葉原にある店舗を日毎に変えなきゃいけない。メイド長として、各店の売上や雰囲気を見て回るのも私の仕事のうちだ。そして、私が出勤する店舗は開店して30分足らずで満席になってしまうのだ。「やっくん〜!お待たせ〜!チェキ撮ろ!」「ふふふ……今日も君は美しいな。スタイルも最高だ。」仕事じゃなければセクハラまがいの言葉をくれるのだが、私はどうにも仕事中はお客様を動物園の動物のように人間観察をする。チェキを撮る時にぼんやりと……店舗を見る。非日常を与える側のはずの私が、逆に彼らの滑稽な“人間臭さ”という非日常を味わっている。それが私にとっての中毒だった。例えば、何故かメイド喫茶でパソコンで作業をしてる男がいる。彼は特にコードも書けないし、PCのスキルは皆無なのだがかまって欲しいからああやってアピールをしている。他にも、
Last Updated : 2026-08-13 Read more