All Chapters of 僕のお母さんは△▽女優: Chapter 91 - Chapter 100

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うちのメイド長はヘビースモーカー 1話

チリリリーン「ご主人様のご帰宅です。」「「「お帰りなさいませ!ご主人様!」」」一人の男が慣れた動きで店に入店をする。年齢は50近くの男性、仕事は確かIT系の仕事をしている。結婚はしていないとの事だ。ちなみに、彼は13年通い続け、ざっと計算しても四千回以上、私に会いに来ている。「ふっ……ここは変わらないね〜。」「ご主人様!メニューは何にされますか?」人気メイドの舞衣ちゃんが代わりに接客をしてくれる。この子は最初は虐められていたけど、何らかのきっかけで乗り越えてからイキイキと仕事をしている。珍しい、メイド喫茶を10年と4ヶ月働き続けた私にとってはいじめの対象になった子は物を盗まれたり、掲示板である事ないこと書かされて辞める子飛ぶ子なんてザラにいる。「もちろん……ドリンクセットでアイスコーヒー、チェキは……ことねちゃんで。」「おお!やっくんご主人様〜今日もことねさんに会いに来たんですね〜。」「もちろんさ!あ……でも舞衣ちゃんも素敵だから舞衣ちゃんとのチェキもお願いしてもいいよ。」「もう〜やっくんご主人様はDD(誰でも大好き)なんだから!」やっくんご主人様はとにかくお店の為に貢献してくれる。人気の独占よりも売上を気にしなきゃ行けない。私は神宮寺ことね、28歳。このメイド喫茶で1番人気のメイド長である。今は私の撮ったチェキにお絵描きをしていてその作業に追われつつ、伝票管理で手が離せなかった。メイド長という役職故に秋葉原にある店舗を日毎に変えなきゃいけない。メイド長として、各店の売上や雰囲気を見て回るのも私の仕事のうちだ。そして、私が出勤する店舗は開店して30分足らずで満席になってしまうのだ。「やっくん〜!お待たせ〜!チェキ撮ろ!」「ふふふ……今日も君は美しいな。スタイルも最高だ。」仕事じゃなければセクハラまがいの言葉をくれるのだが、私はどうにも仕事中はお客様を動物園の動物のように人間観察をする。チェキを撮る時にぼんやりと……店舗を見る。非日常を与える側のはずの私が、逆に彼らの滑稽な“人間臭さ”という非日常を味わっている。それが私にとっての中毒だった。例えば、何故かメイド喫茶でパソコンで作業をしてる男がいる。彼は特にコードも書けないし、PCのスキルは皆無なのだがかまって欲しいからああやってアピールをしている。他にも、
last updateLast Updated : 2026-08-13
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うちのメイド長はヘビースモーカー 2話

休憩が終わり…私はタバコの吸殻を捨てて職場に戻る。休憩は30分を2回取る形式となる。最初はタバコを吸うことにして、次に食事をする。タバコは美味しいけど、食べ物を食べて美味しいという感覚は無い。ただのカロリー補給としか考えてない。そう考えると、甘いとか辛いとか…そんな感覚が薄れていったのだ。ちなみに言うと私は空腹時の方がパフォーマンスが高かったりする。お腹が空くとイライラしてそれが逆に頭が冴えたりして、その結果今の人気に繋がるのも秘訣の一つだ。「戻りました。」「ことねさん!おかえりなさい!」舞衣ちゃんが店を守っててくれたみたいだけどどうにも粗が沢山見えてしまう。チェキが終わったらお会計をしてご退店頂くのが普段の流れなのだけれど、伝票が整理されてないからほかの女の子からみて今どんな状況なのかがわからない。それに、急いで掃除をしたのかテーブルの上が少し汚く感じてしまう。フードも…作ってからお出しするのに時間がかかって冷めてしまっている。私には…メイド喫茶のそんな声が聞こえてくる。「結構大変だった?」「そ…そうなんですよ!急にお店が回らなくなって!いま結構バタバタしてます!」「…任せて。」私はまずバックヤードの人間に冷めたフードを1分だけレンジでチンしてもらうように支持をした後に、伝票を整理する。終わったタスクにはチェックをして、入店順に整理をする。その後は、ご主人様にコミュニケーションを取りながら、飲み終わったジュースなどを片付けて、1回通る度に最低2つの仕事をしていたら、ものの3分で落ち着いてしまった。そして、食べ物も暖かく最高に美味しい状態でご主人様にお出ししてみると、とても美味しそうに召し上がっていた。「すごい…魔法みたい。」舞衣ちゃんはうっとりしている。私はもう10年近くやっているから、最適化されているのかも知れない。「舞衣ちゃんは、ご主人様への対応は素晴らしいわ。敢えて改善点をあげるとしたら、伝票を分かりやすくしてみんなの協力を得るといいかも。後は仕事の移動が無駄に多いから、あそこに行くついでにテーブルを吹く、下げ物をする、他のメイドさんに声掛けをしたりお願いする。ここをやるとお店はより良く回すことが出来るわ。」「あ…ありがとうございます!」「期待してるわ。」ぶっちゃけ人には期待してないけど、期待して
last updateLast Updated : 2026-08-13
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うちのメイド長はヘビースモーカー 3話

私は幼少の頃酷い虐待を受けていた。母親と暮らしていたのだが、母親はシングルマザー。その時…一人の男が入ってきた。「お母さん、この人は?」「新しいお父さんよ。」「ことねちゃん…よろしくね。」私は、幼少の頃から頭の回転が早かったのでこの現象に大きな違和感を感じた。新しいお父さんって何?生物学上それは事実と離反している。私は既に居ない父親の精子から生まれたから、この男とは関係の無い他人である。そんなことを6歳位の頃に覚えていたのを感じた。父親は…日増しに闇の要素を見せるようになった。ガシャーン!「…お父さん、ごめんなさい。お父さんのグラスを割ってしまったわ。」私は、その時深く反省していた。しかし、そんな私に来たのは父親としてあるべき受容ではなく…拳が頬に衝撃を与えた。「てめぇ…ほんと可愛くねえな!」「ごめんなさい…ごめんなさい…。」私は、2日に1回くらい…父親から虐待を受けていた。その暴力は…母親にも及んでいた。気がついたら母親は衰弱し…私が小学生の間に亡くなってしまった。唯一の愛する肉親の死を悲しむことが出来ないほどに私の精神は極限状態に追いやられていった。私の感情も…ほとんどその頃に失っていった。中学に入った頃だろうか…父親は殴らなくなったのだが、妙に体に触れるようになった。「お父さん…やめてください。」「お前も…よく見りゃ綺麗じゃねえか…へへ。ちょっとくらいいいだろ。」血の繋がってない父親は、私の胸を揉みだし…どんどんエスカレートしていった。気持ち悪い、でも…拒んだら殴られる。私は殴られると口の中を出血するので血の味を覚えるのだが…どうにも苦手だった。父親のまくし立てるような怒鳴り声が苦手だった。父親の発情した汗と脂が混ざった匂いが苦手だった。私を犯してる時の父親の快楽に溺れた表情が苦手だった。私の体は…父親によってある日犯され…ついには処女を奪われていった。何も感じなかった。とにかく、身体に異物が入ったという…そんな感覚だけだった。そんな時、私は死のうかと思ったけど…あるものが目に入った。それが、父親の吸っていたセブンスターだった。中学生でそんな物やっては行けないとは分かっている。でも、死んだ精神の中で私は唯一の好奇心が湧いてきたのだ。吸ってみる。不味い。でも、父親にキスをされた時
last updateLast Updated : 2026-08-13
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うちのメイド長はヘビースモーカー 4話

「お疲れ様でしたー!」「お疲れ様ー。」前回のオイスターバーから3日後のお仕事が終わりを告げる。今日も無事一日が終わった。同じ事を繰り返すと……一日とはどうも長く感じる。今日はダンスや配信、チェキのお絵描きサービスなどやる事が多くて疲れてしまった。私は基本的に週5~6で働く。理由は無い。敢えて言うなら……休みの日は私は何者でもないので……焦燥感に駆られてしまう。それなら働いた方がマシなのだが……今日は6連勤目……さすがに疲れてしまった。タバコ……吸いたい。そんな時だった。また、あの日と同じようなことがあった。「……チラッ。」「なーに、舞衣ちゃん!」「あはは……気づいてましたか。」今日は舞衣ちゃんが働く店舗でのお仕事なので、仕事が被ったのだった。あの日の晩酌が嘘だったかのように私たちはドライなコミュニケーションを取っていたのだ。「……どうしたの?別にコソコソするような仲でもないでしょ。」「い……いやいや!昨日のテレビの取材でもことねさん大活躍だったじゃないですか!あんなにカメラあったのにダンスして……インタビューにも答えてて……。」はて、そんなことがあったのだろうかと考えた。そういえばあった。昨日突然大手のテレビ番組から取材があって、オーナーのメイドさんが出張中だったので、急遽私が対応することになったのだ。歳をとると昨日の事さえも忘れてしまうかとおでこに手を当ててしまった。「それで……そんなすごい人と晩酌したんだって気持ちと……恐れ多い気持ちが。」「何言ってるのよ。私とあなたは友人よ。」「な!?」私の淡々とした発言に、舞衣ちゃんは驚愕する。しまった……少し端的に言いすぎたか。「そ……そんな……私が友達だなんて……えへへ。」どうやら、反応としては私の想像するものとは相反するものだったみたいだ。「それで、何か用事があるのでしょう?悩み相談!?」「い……いえ……今日はお誘いです!」「どこに行くの?」「サウナとか……どうでしょう!」私は……ふと考える。サウナは滅多に行ったことがない。家に帰ったら寝る、それだけだ。仕事は業務外の時間は体調管理も仕事のうちというのと……特にやることがないと言うのもある。確かに……タバコ以外の趣味も持つべきなのかもしれない。「いいわ、行きましょ。」私は……メイド服から
last updateLast Updated : 2026-08-13
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うちのメイド長はヘビースモーカー 5話

夏風がよると共に過ぎ去る。露になった全身を心地よく冷ましてくれる。程よい疲労感と……リラックスしてるのが目に見えてわかる安堵感。そのふたつが調和してるからこそ……「ととのう」だなんていうのかもしれない。身体が……いまは外気浴に身を委ねている。「どうでした?ことねさん。」「3回は……めちゃくちゃ疲れたけど悪くないわね。でも……舞衣ちゃん、さっきからおもったけど結構Sよね。」「そ、そうですか?」「自覚なかったんだ……。」私は、何度も逃げ出しそうになる度に舞衣ちゃんが恍惚とした表情で私を矯正した。その様子のせいか……舞衣ちゃんが小悪魔に見える。「なんというか、普段仕事をそつなくこなしてクールなことねさんがあんなに可愛いところあるんだなと思ったらドキドキが止まらなくなって……。」「あんた、大物になるわよ。」私もこの日初めて気がついた。意外と人の言うことを従順に聞くのも悪くない。私はMの素養があるのかもしれない。「さすがに……もう無いわよね。」「え〜、どうしよっかな〜。」「え、まだあるの!?」「あはは、冗談ですよ!湯船に浸かったら……出ましょうか。」どうやら、彼女のSの素養も開花しつつある感じのようだった。しばらくしてお風呂にも入ったが、手足がピリピリとした後、全身が温まりリラックスもできた。パチンコや酒なんかでは味わえない……そんな感覚を初めて知ることが出来た。☆☆「ことねさん!牛乳飲みましょ!」温泉に入ると、牛乳の瓶が目に入る。食欲がそそる。私は食欲が無いはずなのに……どうにも欲望が湧き出てるような気がした。「いいわ。」お互いお金を払って、牛乳の瓶がでる。「舞衣ちゃんは……プレーンか。」「あはは、ことねさんいちご牛乳なんて可愛いじゃないですか!」「そう?なんか、このピンクが可愛くてね。」「ことねさん、可愛いって感情あったんだ。」私たちが牛乳を飲んだ……その時だった。「は〜!風呂後のビールうめええ!」「「え?」」目の前にビールを6本くらい飲んでいる20代半ばの女性がいた。いや、銭湯で飲むのはいいけど……飲みすぎじゃないかしら?「あ……あの人は……。」すると、舞衣ちゃんは表情が固まり、目を見開いていた。顔見知りなのかしら?まあ、あの子もそこそこ顔が広いし。「笛吹さん……何してるんですか?こ
last updateLast Updated : 2026-08-13
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うちのメイド長はヘビースモーカー 6話

夜の都会はまるで異世界のようだった。ビルやお店が形成されているのに、人1人歩いていない。たまに迷い込んだように酔っ払いや、タクシーが通るだけである。私は、この不気味な光景が好きだった。私は本来は人が嫌いな性分だったのでこの孤独感と普段と違う非日常感は心を妙に踊らせる。「しかし…12年振りかしら?」「うーん、確かそうだったような…。」この子は笛吹さやか。私と同じく両親がいない子である。私は、2年くらいで里親に巡り会うことが出来たが、彼女は最後まで誰にも受け入れられることが無かった孤独な子だった。私の過去もくらい。親には虐待をされるし、里親ができても妙に居心地が悪く、メイド喫茶にすがる毎日だ。だけど、彼女は孤立無援…英語で言うとアイソレーションが見事に当てはまるので、彼女の生い立ちも相当黒いものなのかもしれない。私たちは、各々好きなタバコを吸った。「「すうーーーっ、セブンスター(iQOS)臭っ。」」なんということだろう。お互いタバコを吸っているのに電子か紙かでも違和感を感じ意見が割れてしまう。きっと、その部分は分かり合えないのだろう。「あんた…いつの間に小説家になってたのね。そういえば本読むの好きだったもんね。」「あはは〜そんなこともあったあった〜。」「頭が良すぎて周りと話が合わないからって感じで頭の悪い子を見下してたような感じだったのに…。」さやかが立ち止まり私にピンと指を指す。「今は、まるで逆を見ているようだわ…。って言いたいんだね。」「そういう洞察力は健在なのね。」心を読まれてしまった。しかし、この子は元々周りと思考能力が合わず難しい単語を網羅してただけであって、本来は洞察力、思考力は光るものがあった。気がつくと、私のアパートがあった。こじんまりとしたアパートである。「ただいま〜。」「あはは、誰もいないじゃん!」「帰ってくる時に言うだけで落ち着くのよ。」「へー。それにしても…この部屋…なんも無いね。」彼女は私の部屋を不気味がる。私の部屋は…カーテンがない。そして、冷蔵庫も無ければ電子レンジもない。あるのはちゃぶ台だけだった。「お金ないの?」「まあ、名目はアルバイトだから税金とか社会保険引かれるとこんな生活になっちゃうのよ。タバコも1日2箱吸っちゃうからねえ。」まあ、もうひとつ何も無い方が
last updateLast Updated : 2026-08-13
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うちのメイド長はヘビースモーカー 7話

あれ、私何を話してたっけ。昨日、そういえば私はサウナに入っていた。そこから…偶然さやかと話して…記憶が曖昧だ。見慣れた天井はと…すこしかぐわしい香りのする畳、そして部屋に置かれているいくつかのビール缶。そして、サウナで疲れた体ごと空っぽになった私と床にぐっすりと眠るさやかが居た。サウナによって優位になった副交感神経は…体に気だるさとリラックスを朝まで継続させてくれた。私は家に帰ってもXをブログのように発信したり……返信に追われていたので家に帰っても休んでるようで休めていなかった。私は、どうにも休むのが苦手だ。たまに…また舞衣ちゃんを誘ってもいいのかもしれない。「んー?ことねえおはよう〜。」「おはようさやか。あなた、いくつになってもどこにでも寝れるのね。」「まあねえ〜えへへ〜。とりあえず…迎え酒〜。」さやかは朝一番だと言うのにいつの間に購入していた鬼ころしを1杯飲んでいた。彼女は体が驚く程に細い。150cmくらいなのに体重50kgもなさそえなほどほっそりとしていた。「ねえ、ことねえのちゃぶ台使っていい?」「いいわよ。」私は、ベランダでアウトドア用のチェアを広げて、灰皿とタバコを吸う。朝の日差しとともに…タバコの煙が美味しい。私たちは…朝から不健康な嗜好品に快楽を委ねていた。さやかは…バッグから原稿と万年筆を走らせていた。「あはは…本当に小説家なんだね。」万年筆も懐かしい…私が彼女の誕生日プレゼントに2000円の万年筆をプレゼントしたのだが…まだ使っていた。ステンレスでてきてる…とっても使いにくい万年筆。「あなた…高いものとかは買わないの?先端が金の方がしなって書きやすいって聞くわ。」「んー、これがいい。」彼女はそういうと、また鬼ころしを飲む。彼女は案外酒が弱いというのに酒を飲み続ける。酔いが回る度に筆の速さは加速していった。彼女は……汚れたけど強く成長をしたようだった。まるでビンテージ物のジーンズのように、色あせたからこその価値があるのだ。それを見ながら吸うセブンスターは…なんとも美味い。私は普段は仕事ギリギリまで寝てると言うのに…朝早く起きるというのはこんなに素晴らしいものなのだろう。気がついたら…1時間が経っていた。「ふぅ〜。」「え、もう終わり?」彼女は1時間ピッタリだと言うのに…書くのをやめて
last updateLast Updated : 2026-08-13
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うちのメイド長はヘビースモーカー 8話

夏も真っ只中、私たちは隅田川を超えてスカイツリーに向かっていた。人の賑わいよりかは少しオフィス街となっていた。私はさやかの後ろを歩きながらゆっくりと進む。「はーるのーうらーらーのーすーみーだーがーわー!」「……なんだっけ、それ。」さやかは少し考えて、ピンと来たみたいで元気に言葉を返す。「たれきんたろう!」「いや滝廉太郎ね。あんた……ほんと偏ってるわね。それよりもどこ向かってるの?浅草って反対の方向の方が賑わってない?」「今日は〜私のお気に入りの場所でーす!」彼女はそういうと、小さなこじんまりとしたお店を指さしていた。コンビニが近くにあって、そこまで目立たないので普段なら素通りしてしまう……そんなお店だ。「ここは……ショコラティエ?」「そう!ショコラティエ田中です!」そういうと、彼女はお店に入っていった。「田中さーん!いる〜?」いや、めっちゃ友達感覚じゃない。そんなツッコミをしつつ、お店を見てみる。お店は整理整頓されていて、みていて景観美を感じる。ショーケースにはチョコレートがあるのだけれど、デザインが美しい。可愛いチョコレートだけでなく、和を基調としたデザインをしている。味もオレンジなどのベターなものもあるけど、1部麹味なんてものもあり、浅草と和風……そしてショコラティエという3つのコンセプトから成り立っているお店だった。「あら、さやちゃん!お久しぶりね!」中からふた周りほど年上の女性が出てくる。私の親が生きていたらこれくらいの歳かもしれない。「あれ?田中さんは?」「シェフは今日はおやすみよ〜。わざわざベルギーに仕入れに行ってるんだから。」彼女の言うシェフは不在らしい。旦那さんなのかな?夫婦で成り立っているお店が今もこうしてあるのはどこか応援したくなる気持ちもある。「えー!久しぶりに小説のネタ集めに来たのに〜!」「さやか……シェフとは知り合いなの?」「うん!たまたまここに来た時があって……そん時ね!この方はそのシェフのお母さんだよ。」私は一瞬目を丸くした。確かに、チョコレートのデザインを見るとどこか若々しい。暦年の職人はシンプルになりがちだが、このチョコはどこか尖っているのだけれど、それがまた力強さを感じた。「娘さんだったんですね。」「ええ!海外に修行に行って……そっからお店やりたいって言い
last updateLast Updated : 2026-08-13
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うちのメイド長はヘビースモーカー 9話

私たちはスカイツリーに着く。スカイツリーの下はソラマチという商業施設があり、人々で賑わっていた。地下には駅があり駅直結型の施設となる。「スカイツリーなんて、今まで意識して見たこと無かったわ。いつできたんだっけ?」「んー、私が小学生の頃からあったから……10年?」「10年!?もうそれくらいたったの?」「ことねえが歳をとるわけ……いたた……ことねえ痛ーい。握ってる手がいたい〜。」さやかのノンデリケートさがフルスロットルなので咄嗟に手が出てしまう。メイド喫茶のメイドさんが粗相をしても感情が動かないのに不思議だ。まあ、自覚はある。私は28歳、世間からすると若い子には見劣りがしてしまう。女の世界は若さこそ価値であり、そこからは右肩下がりなのが一般的だ。歳をとったら武器がない限り私の価値は無いも同然になる。さやかは……小説家だから積み上げた知名度があり、歳をとっても右肩上がりだろう。私たちはこの地を這う幾つかの線路のように人生の角度は大きく変わってしまう。「さやかは……一緒に暮らしてる男の子とはどうなの?」「んー?れんれんのこと?」「そうね。」こんなに破天荒なさやかを受け入れてくれる男性のことを気になってしまう。私にはそんな存在がいないので少し羨ましくも感じる。さやかは少し考えた。「んー、成り行きで一緒に暮らしてるからねえ。あと、家事とかやってくれたりしてなんか親みたい。あ、たまにムラムラするかられんれんのベッドで致すとすげー怒るんだよね。」想像以上に気ままであった。大丈夫かしら、いつかこの子殺されたりしない?「そういうことねえはどうなの?」「私は全然ダメ、大学生の頃は合コンとかしてたんだけど……私は真顔がすごく怖いので、メイドという仮面がないと私はどうにもモテないのよ。趣味は何?って言われたからメイド喫茶でバイトする事以外ないって言ったらドン引きされちゃって。」その言葉に驚いたのか、さやかは目を白くしていた。私……やっぱり変わってるのかしら。「ま……まあ、その……私が言うのもあれだ……。」「はっきり言ってよ。」「なんというか、男ウケは悪そうかも。もう少し笑ったりとか、仕事でできてるのならそういう場でも出来るんじゃない?」彼女にしては珍しく一般的な意見である。分かってる。笑えばいいことくらいわかっている。笑顔は
last updateLast Updated : 2026-08-13
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うちのメイド長はヘビースモーカー 10話

帰り道。私たちは少しお酒に酔っていた。帰り道に美味しそうな焼き鳥屋があったので寄ってみたらさやかは、美味しさのあまりビールをたらふく飲んで現在泥酔中だった。「あんた…ちょっとは自重…しなさい…よ!」「ごめ〜ん、飲みすぎた〜。」さっきまでのスカイツリーの感動を返して欲しいくらいだ。さやかは女性としては軽すぎる方だけど、肩で抱えて歩いているといい加減重く、鬱陶しくさえ感じていた。そんな時だった、突如スマホの電話の音が鳴る。私かと思ったが違うようだ。さやかの方から聞こえてくるが反応する様子はない。私はさやかのポケットに手を突っ込んで代わりに出ることになった。なになに…電話の主はれんれん、さやかの同居人か!すかさず電話を出ることにする。「もしもし…。」「笛吹さん!まじどこいってんすか!?鍵忘れてったでしょ!」電話に出るなり耳がキンとなるほどの声が聞こえてきた。17歳とは思えないほど落ち着いている。「すみません、さやかの友人のことねと申します。現在さやかは酔いつぶれて代理にてお電話させていただきます。」すると青年は「え…?」と少しフリーズをしながら私と会話を合わせることにする。「すみません、ご迷惑おかけしました。今介抱して下さってるんですね。」「そうですね。ちょっと今隣で壊れてます。」「今…どちらにいらっしゃいますか?」「今は…渋谷にいます。」☆☆相手に場所を伝えて、私たちは渋谷の人混みから少し離れた所に腰をかけていた。どうやら迎えに来てくれるそうだ。時刻は21時、既に夜が更けっていて…正常に働く体内時計が睡眠を促す。こんな時に限ってさやかはずっと、うへへ〜としかいわない。いいな、人が迎えに来てくれるなんて。私はそんな人はいない。孤独なようで帰る場所があるさやかと人に囲まれてるようで孤独な私がここでも明確に対比されてしまう。そんな事を思ってると1人の青年が駆け寄ってきた。「笛吹さん、見つけた!!もう〜マジで勘弁してくださいよ。」「はじめまして、神宮寺ことねと申します。」青年は17歳の170cmで若干筋肉質で短髪の似合う爽やかな青年だった。青年は、私を見るなり少し驚いていた。「は…はじめまして!笛吹さんの同僚の飯田蓮と申します。」「どうしたの?少し…緊張をしてるようだけど。」「いえ…、とても綺麗な方
last updateLast Updated : 2026-08-13
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