バイクは再び木曽の渓谷をひたすら川を遡上するように登っていく、こうして見ると…木曽という地域は川を中心に谷を形成されているので巨大なU字溝を彷彿とさせるようだった。現在時刻は14時、このまま飛ばせば夕方までには帰れそうなのだが……。「れんれーん!お腹すいた!」「…さっき温玉ソフト食ったばっかでしょ。」「いや!?アレおやつだよ!ご飯にカウントしないでよ!」笛吹さんが俺の後ろでギャーギャー騒いでいる。まるでお腹を空かせた赤子のように。確かに俺達は起きてからすぐ旅館を出てしまったし、足湯カフェで温玉ソフトしか食ってないので気がついたらお腹が空腹を鳴らしていた。「ほら!れんれんだってお腹すいてるじゃん!どっかないの!?」「いや、むちゃ言わないでくださいよ。バイクでググれる訳ないですから。」「じゃあ、私が指定したとこにしよう!」……それも不安である。どうやら、夕方までに帰るのはほとんど不可能みたいだった。とはいえ、こちらも急ぎの旅ではない。高低差のある道のりで、周辺を探すのだけど…木曽はマジで道の駅ばっかでコンビニは愚か飲食店か判別できるところがあまり無かった。そして、突然笛吹さんは別の方向へと指を指す。「れんれん!あそこにしよう!」「は、はい。」林の茂みが途中で辺りを覆うとその先に飲食店があった。俺はスピードを落としウィンカーをつけて左折する。降りてみると…確かにそこは飲食店であった。「よくわかりましたね、俺の動体視力じゃ分からなかったですよ。」「覚えてたんだよ、行く途中でお店とかエリアとか!」これは驚いた、見つけたのではなく記憶してたとすると、やはり彼女の天才差の片鱗がここにも出ているのだ。俺なんか、なんとなくの道でしか無かったのに。「まあいいや、入りますか。」「ちょ!?……もー、素っ気ないな。」シャラランお店に入るとドアの裏の鐘が子気味良く音を鳴らす。外装では分からなかったのだが、内装はバーカウンターのようなものがあったり、木で出来たオシャレな飲食店であった。高級レストランのような雰囲気だけでなく、窓の上には手書きのメニューが書いてあり、普通のオレたちですら馴染みやすいアットホーム感にも溢れていた。それだけで、良い店だと伺える。「れんれん!みて〜、ワカメの唐揚げだって!」「ほえ〜なんか色々あるんすね。」
Last Updated : 2026-08-28 Read more