All Chapters of 僕のお母さんは△▽女優: Chapter 241 - Chapter 250

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遥香と秘境の吊り橋物語 19話

畑薙大吊橋からUターンして……かれこれ数時間がたった。さすがの私も体力的にダウンしたのか、力が残っておらず逆に運転をことねさんに託す事にして私も体力回復のために助手席で休んでいた。「……みなさん、既に眠ってしまっていますね。」「あんだけハードな道進んでたらそりゃそうなるわよね。」場所は既に下流……私たちは途中で飲食店を見つけることが出来ず、結局コンビニ飯で済ませてしまい振り返るとみんなは車の中で眠っていた。それにしても、今のことねさんの運転は昨日とは打って変わってとても丁寧で揺れの少ないものだったので今にも私は眠ってしまいそうだった。「……もしあれなら、遥香さんも寝ててもいいですよ?」「いやいや!さすがに責任もって最後までがんばるわよ!」「……頼もしいですね。」みんなの様子をみると、ぐっすりと眠っている。こうして見るとみんなまだ身体は大きくなってるけど子どもなんだなとしみじみ思う。そして、大井川流域を超えていく。既に景色は夕焼けに染まっていて今にも太陽が沈みそうだった。「ことねさん、ちょっと気分転換に散歩しない?」「……いいですけど。」私はナビを操作してすぐの場所を指定するとことねさんはルートを切り替えてさらに下流に進んでいく。そして、私たちはあるところで車を停めてから、二人で車を出る。ドアを閉める音で直輝が起きそうになったけど……ことねさんと見つめあってしーっ……と人差し指を立てて静かに笑う。「あー!なんか……下界におりてきた気分ね!」「……少しだけ暖かい気がします。」着いた先には、長い木造の橋がかかっていた。ここは……蓬莱橋、明治時代から建てられた木造の橋で1km弱の長い長い橋である。そのことから、ギネスにも認定されてる世界一長い木造の歩道橋と記録されているのだ。風が少し暖かく、景色は下流ゆえに開けていて夕焼けの空が美しく照りつけている。こんなに綺麗な夕焼けを見た日は今日が初めてかもしれない。でも、それだけじゃなかった。「ほら!ことねさん……あれを!」「……これは。」私たちは元いた北の方向をみると、そこには夕焼けに染まる富士山が橋からはっきりと見えている。今日の天気は晴天なので雲ひとつない富士山を見るのだが、自然の巨大さをはっきりと物語っていて私たちは言葉を失うほど見とれていた。「……自然って凄いです
last updateLast Updated : 2026-08-30
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松本みなみの婚活日記 1話

「はい、永久凍土で夏にコケが生える地域をツンドラと呼ばれていて……。」私は松本みなみ。今年からこの学校の社会科教諭として教鞭をしている25歳だ。ああ、ちがうちがう……今日で私は26歳になりました。将来の安泰を考えて教師になってみたものの、教師とはなかなか大変な仕事です。「チリコー!!ツンデレなの?」「……。」ちなみにチリコとは私が基本的に地理を教えてるところから、ヤンキーに愛称をこめられてニックネームを付けられてます。「山田くん……ツ・ン・ド・ラね!」「へー、チリコ彼氏にはツンデレなの?」「そんなの……いないわよ!」「まじー?かわいいじゃん!」教室内に笑い声が込み上げてしまう。いけない……ヤンキーにいじられてはついムキになってしまった。頭の中でかーってなってしまう。元々地味子だったから、ヤンキーの対処法はよく分かりません。無視しても答えても遊ばれてしまいます。こうなることなら……もっと若い時に遊んどけばよかった。キーンコーンカーンコーン……。「あ、てかチリコー!もう授業終わりだな?ありがとうございました!」「な!ぐぬぬ……ありがとうございました。」私の授業はいつもそんな感じだ。職員室に戻り、自分の席に座る。「松本先生、お疲れ様です。」「布施先生……。」この人は布施先生、社会科のベテランの先生だ。そしてわたしの教育係も兼ねている感じだ。「最近は授業の進捗……いかがです?」「あー……まだ冷帯などの解説までですね。」「……ほかの先生に比べると2単元ほど遅れてますね。この前のテストでも松本先生のとってるクラスの平均点が低かったように思えます。」ぐうの音も出ない。教師の仕事の本質はキチンと教えることなのだから。「すみません、ペースを上げたりしてみます。」「そうしてくださいね。」そう言って布施先生は少し冷たく私から去っていく。以前、だってヤンキーが授業中にいじってきた旨を伝えたのだが、それも含めての教育ですと一蹴されてしまった。教師としても新任なのだが、それ以前に私は社会人としてもルーキーだったので、これを切り抜ける術は未だに持ち合わせてなかった。アラサーなのに……情けない。今から急いで問題を作って平均点や定着を図ろう。大丈夫、もうちょっと時間配分を気をつければ、今からでもまきかえせ……。「松本先
last updateLast Updated : 2026-09-01
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松本みなみの婚活日記 2話

やってしまった……。私こと松本みなみは勢いでお金が無いにも関わらずマッチングアプリを始めてしまった。しかし、仕事が多忙な私は早めに出勤しては問題集を作る作業に追われて気がついたらそれさえもわすれかけてしまっていた。「おお!松本先生……せいが出ますな!」ここで諏訪先生登場。うるせーよ!お前のせいで仕事増えて早めに出勤してるんですけど!?そんなフラストレーションをパソコンのキーボードに叩きつける。「あ、コーヒー淹れますか?」「……お願いします。」早く来たかと思ったらコーヒーかい!そして、先生はのんびりとなにかのリストを見てはお湯を沸かして軽くストレッチをしていた。全く……その時間を作業に費やしたらいいと思うんだけど、この先生は時間配分とかできてるのかしら?「先生、お待たせしました。」「おお、利根川か……!待ってたぞ。」ふむ、どうやら朝ダラダラしに出勤した訳では無いみたいだ。これは……女子生徒の悩み相談か?意外といいところもあるのかもしれない。「最近、学校はどうだ?」「あんまり……ですね。」「おお、そうかそうか。」あんまりに軽い返事にガクッとズッコケてしまう。話聞いてるのか?この人……。「なんというか、クラスのグループLINEで揉めてからは仲間はずれにされてるような気がして……。私何のために生きてるのか分からなくて……。」いや、それで人生決めるのは早いわよ……。と言いつつ、私もそんな時代があったっけ。悩みの種は年齢や視野ごとで変わるけど……今の私には到底理解し難いものだった。さて、そんな女子生徒の繊細かつセンチメンタルな悩みをどう切り抜けるのか……見物である。「利根川はどうしたいんだ?」いや丸投げかい!こういうのは大人としての解決案を提示するのがコスパが良いと思うんですけど?だから業務が終わらないのよ!「……分からないです。でも、仲直りすれば良いのかな。」「真っ先に仲直りが出るのであれば、きちんと落ち度があれば謝罪するべきかもな。」「でも!何思われてるか……それすら考えるのすら怖くて……。」「なるほど。」しばらく無言になっている。傍から見ればきちんと答えを待っているようにも見えるけど私には分かる。この人……考えてるようでそんなに考えてない感じだ。「……私、とりあえず謝ってみようかとおもいます。」「ど
last updateLast Updated : 2026-09-01
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松本みなみの婚活日記 3話

「あーー!もう!ムカつく!」私は今日が給料日だったのでむしゃくしゃしながら家の近くのコンビニでたくさんのツマミとビール缶を6缶も買いヤケ酒に酔っていた。しかし、怒りの矛先が行き場を無くしているので酒を飲んで自分を痛め付けることしか出来なかった。「なにが35万円で化粧品セットを買って儲けるですか!こんなの儲かるわけないじゃない!馬鹿なんじゃないの!ほんと!!」自宅のマンションで騒ぐ私。幸いにも壁の厚いマンションなのでどれだけ叫んでも誰にも聞かれることがないので心置きなく私は怒りの叫びをあげていた。しかし、その怒号すらもマンションの壁が反響して空虚さをより一層強めていた。いかん……沈黙が耐えられない……。なにか見よう……サブスクでもYouTubeでも……。そう思い、私はスマホを見る。こんな時に限っておすすめが恋愛ドラマばかりで吐きそうになってしまった。やめて!なぜ私を世界はこんなにも攻撃するのよ!とにかく私はスマホをいじると……あるチャンネルの生配信が目に入ってしまった。「あ……ひろ〇きの配信だ。」そう、目に入ったのはフランス在住の論破王だった。いつも相手を見下しながらもきちんと事実を伝えて論破していく配信がたまたまやっていた。私は、藁にもすがる思いでその配信をつけてみる。しばらくすると、見慣れたひとつの部屋で画面を見ながらビールを片手に持つ論破王の姿がそこにはあった。「いやぁー、女はね……30越えると価値って下がるもんなんすよ。だって高齢出産にもなるから……子供を作りたいと思う男にとってもリスクじゃないっすか〜。」いきなり耳が痛いことを笑顔で話すひろ〇きをみて心がグサグサと刺さる。いや確かに26にはなったけど……まだ大丈夫じゃない?「てか、〇〇さん、30で結婚出来てないってことは……おそらく理想が高すぎるか何かしら問題があるから残ってるんじゃないですか?自分で上の下の見た目とか言ってますけど、恐らくそうだったら結婚してると思うんすよね……。」私のことを言われてる訳じゃないのに妙に私にも刺さることを論破王は酒を飲みながら笑顔で伝える。妙に腹が立つけど、下手に煽てられるよりは今の私にとっては良薬口に苦しもいいところだった。今日の配信は女性の話のようだった。もしかしたら、私のことも論破して解決策が見つかるのかもしれない?
last updateLast Updated : 2026-09-01
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松本みなみの婚活日記 4話

翌日、相変わらず私は昨日のことがまるで嘘だったかのように仕事に打ち込んでいた。職員室でも良かったのだが、妙に普段と違うことをしたくなる。ということで私は生徒会室にて作業をしていた。生徒の場所だけど、ここは昼間なんかはほとんど使われてないから作業場にも持ってこいだった。午前中は授業がないからほとんど作業も終わらせることが出来た。そう、これでいい……今までは残業ありきで仕事していたけどきちんと期限を設ければなんとかなるのだ。「お疲れ様でーす。」そんな中、妙にだらけた声が聞こえてくる。私の1人時間、早速終了。でもまあ……仕事はあと少しだし作業に没頭するとしよう。「って松本先生!?どうしたんですか。」「ああ……天野くんか。」そう、彼は天野直輝くん。次期生徒会の議長候補である。ぶっちゃけ控えめな印象だけどやる時はやる男で文化祭も彼の功績によって作業が進んだそこそこ優秀な子だ。「すみません!別のとこで作業します。」「ああ!いいよ……ここで作業しても。」「あ、いや別に急ぎじゃなかったんで。」「いや……居て。」彼なら良い、というか生徒の中では比較的話したい人でもあったのでちょうど良かった。天野くんは少し気まずそうに席に座り私と目が合わないような位置で作業を始めた。「ねえ聞いてよ天野くん。」「作業は大丈夫なんですか?」「いいの!ほぼ終わらせたから。」私は一度頭の中を整理してから深呼吸して言葉を続ける。「私婚活始めたの。」「いいんじゃないっすか?」「いや、めちゃくちゃあっさりね!?」もっと笑われたり引かれたりとか、リアクションをとるものだと思ったけど彼は大人の私より大人なのか意外と……いやかなりドライだった。「だって人って結婚するんですよ、それに真摯的に向き合ってるんです。何がおかしいんですか?」あ、すごい……達観してる。シンプルなのに私の事を肯定してくれてる感じがなんか嬉しかった。あ〜生徒じゃなかったらこの子でも良かったな……いや、それは倫理的にアウトかな。「でも、最初のイケメンがマルチの勧誘だったの。」「うわ〜、エグいパターン引きましたね。」「そうなのよ!もう泣きながら帰った。」「まあでも……先生頑張り屋だし、きっといい人見つかりますよ。頑張ってください。」いかん、この子好きになっちゃいそう。流石、彼女持
last updateLast Updated : 2026-09-01
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松本みなみの婚活日記 5話

昨日も散々だったな……。私は一仕事を終えながら1枚ずつ地面に舞い散る紅葉の木をぼんやりと見て婚活の難しさを実感する。婚活って広告費で稼いでるカモになってる人が多いから出生率が下がる一方なのでは?なんて思いながら私は少しスマホを眺める。なんか……マッチングアプリ嫌になってきたな。ちょっとリハビリで同じ職場の先生とかと話してもいいかも知れない。それくらい私のメンタルは擦り切れていた。基本は先生は年配が多い、平均年齢30後半である。大体が既婚者ではあるのだけど、私は知っていた……この中で若い先生は実は土日に決まって合コンに言っていることを。その中に混じるのもいいかもしれない。ちょうど喫煙所に若い先生が集まっていたので近くを通ることにした。「でさー!この間会ったイケメンだけど……結局ギャンブルくせが酷くてさー。身体の相性は良かったんだけど……。」「えー!宮島先生、食うの早いですよ。」「だって、男なんて結局ヤレればいい生き物なんだけど……そこからどう落して主導権を握るかじゃない?」喫煙所にいたのは28歳の2人組の先生の宮島先生と佐々木先生だった。宮島先生は英語教諭で茶髪にウェーブをした以下にもモテそうな先生だ。対して佐々木先生は小柄で朗らかな感じが普段の姿だけど、素性は少しクールというか冷たい印象で対照的だった。彼女らは授業でもヤンキーの妨害を難なくいなし、それでいて夜は合コンや予定が詰まっていて、SNSも煌びやかな毎日をしてるのも確認済みだった。すげぇ!これだ……私が10代20代で知り得ない世界を彼女は持っていた。さて……どう近づくべきか?「あ、松本先生……お疲れ様です!タバコ吸うんでしたっけ?」「あ!?あ……おつ……お疲れ様です……。」「ん?なんか、死ぬほど挙動不審……。」早速バレた!どうしよう……変に媚びてもバカにされて終わりじゃないかしら……?手が汗ばんできて喉が妙に乾く感覚がある。さて、なんて言い訳しようか……。「あー、そういえば松本先生は最近男どうなんですか?清楚に見えて実は食い散らかしてるとか!?」「あ……そういえのは……全然。」「えー、ほんとですか?」良かった、自然に絡んでくれた。しかも話の内容は男女の話……もしかしたら良い人とか紹介する……なんてこともあるのかもしれない。「その……最近マッチングアプ
last updateLast Updated : 2026-09-01
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松本みなみの婚活日記 6話

ここは都内某所。夜の繁華街は人々で賑わっている。若者やサラリーマンが集い、うまいものを食いうまい酒に酔うまるで祭りのような場所だった。道路にはキャッチのかわいい女の子とかもいたりして、良くも悪くもカオスそのものだった。そう…それは例えるなら。「テーマパークに来たみたいだぜ〜テンション上がるな〜!」「……松本先生?」英語の宮島先生が白い目で私を見ている。しまった、ついついマイブームに乗っかって変なこと言ってしまった!流石に某春日部のサラリーマンのグルメ漫画は見てないみたいだった。「ああ、いえ……独り言です!」「その……ネットミームは一定数はウケはいいですけど、チョイスミスると死にますよ。」「……肝に銘じておきます。」どうやら、婚活の史上はある程度は仮面が必要だった。「……じゃあ、皆さん準備OKですか?」そして、無表情の佐々木先生はそのネタを聞いてる素振りもなく合コンに集中していた。そうだ、あんまりふざけていられない。彼女らは戦友でもあると同時にライバルでもあるのだ。ゆっくりと頷いて私たちは居酒屋に来店すると男3人組が目の前にいた。「どうもー、お待たせしました〜!」「こんばんは〜!今日はよろしくね!」私は左端の席に座って久しぶりの職場以外の男に対面して少し緊張していた。化粧くずれてないか心配になったりと急に自分の容姿に自身が無くなる。「とりあえず、何にします?」「「「ビールで!!」」」なんと……こんなにもいきなりノリが合うことってあるんだな。私は店員さんに注文を頼んで男たちと向かい合う。な……何から話そう。すると、宮島先生が場を察したのか話を切り出した。「いやー!今日はイケメンさんばかりでテンション上がりますね。」「え、なんか嬉しいっすね!」私は人見知りもあって3人を見つめる。1人は少し服装などが派手で黒髪で筋骨隆々の男だった、名前はだいち。1人は細身で薄めのグラサンをかけている、名前はけん。1人は眼鏡をかけていて、少しダウナーな雰囲気を出している、名前はたくみ。彼らが今日の合コン相手だった。そして、グラサンのけんが笑顔で私たちを見て場を盛り上げようとする。「えー!なんか……今日のメンツ先生って聞いたけど、めちゃくちゃ美人ばっかでびっくりしたわ!ここ、キャバクラじゃないよね!?」「えー!でもよく言
last updateLast Updated : 2026-09-01
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松本みなみの婚活日記 7話

夜の街で男の人に声をかけられる。私は声を無視して駅へ駅へと進む。「あらあら、そんなに急いじゃって可愛いね〜!俺コハクって言うんだ!仕事は何してるの?」「……。」私のアラートが知らせる。こいつも先日のマルチ男と同じ匂いがする。嘘つきが出すゲロ以下の匂いがプンプンする。私は顔も見てないけど、もう声だけで話す価値がないと見切り駅へと駆ける。「いや〜黒髪ロングっていいよね、綺麗な子しか似合わないよね!」「……。」「なんか、イライラしてる?嫌なことあった?」今目の前で嫌なことが起きてる……なんて言うのもめんどくさかった。ほっといて欲しい、どうせ私は男とまともに話せない喪女みたいなもんなのだから。「お姉さん!今日に満足できないなら、飲み直さない?」「うっさいわね!ほっといてよ!!」あまりにも鬱陶しい。私の心の中を見えてるのかどんどん嫌に傷を抉られてるようで私はついカッと、頭の血液が沸騰しそうなくらいむしゃくしゃしてつい男を見てしまった。「あはは〜なんか、夜のこの街に相応しいくらい綺麗な顔してるね!でも……泣いたあとのような表情は似合わない!」「そう?あんたはそんな夜を語れる大層な顔はしてないと思うんだけど。」男は顔は実際のところかっこよかったけど、少し残念なところがあった。お腹が出ている。いわゆるビール腹というやつだ。それでいて身長も150センチしかなくて、顔は整形とV系と同程度の濃いメイクをした男だった。「いや、わかる?整形メイクだよ。」「わかんないわよ!帰ります!」「いやいや、まあまあ……話してみてよ、嫌なことがあったんでしょ?今俺暇よ。」どうしよう、同じ言葉を交わしてるのに全く会話が通じない。交番に突き出してやろうかと思ったけど、他にもなんぱに溢れていてそれをアクアリウムの珍しい魚を見るような目でぼんやりと見ていた。「ね!えーっと……春奈ちゃん!」「いや、みなみです!」「あ、ごめん間違えた!川口春奈ちゃんがここで歩いてるかと思ってさ!みなみちゃんね、覚えたよ。」しかもムカつくのが名前を覚えられてしまった。ボケてるようで手の上で転がされてるようで、コミュニケーションを交わす頻度が増えてきてるのも相手の策に溺れてるようだった。「仕事は何してるの〜?みなみちゃん。」「……。」「あ、俺?俺はね〜夜の王子様やって
last updateLast Updated : 2026-09-01
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松本みなみの婚活日記 8話

「えー!みなみちゃん、マジで婚活中なの!?」軽くチャラい男が全身を一瞬震わせて驚く。「なによ!悪いのぉ!」酒に酔った私も反論するかのように叫ぶ。なんというか、もう叫びたくて叫んでる感じではなくて感情の爆発で行動してる感覚があった。「いやいや!思わん思わん!むしろ自分の将来に真摯に向き合ってると思うわ〜!」「……ほんとかしら。」ホストって人種と初めて話したのだけど、打算なのかそれとも本音なのかが分からない。でも男は常にニコニコだし一定数の距離で座っていたので妙に安心感はあった。「いや〜俺もさ!一人の人間よ!26になって携帯販売してたけど……ホストになってみたらこんな歳になっちゃってさ!親からはほぼ勘当みたいなもんよ!」「……あんたにもそういう概念あるのね。」「あるある!俺も将来不安だよ〜!」「普通に仕事やったら?」すると、男は笑い飛ばして酒を飲むと、少しだけ冷静な顔になった。「いや、幹部補佐やるくらいには稼いでるからさ!それなら今頑張って貯金作った方が良くね?そっからやりたいことをやるとか経営するとかでもいいと思うんだ!」「……なんか、あんた幹部補佐な理由わかったわ。」「惚れた?」「ビンタするわよ。」相変わらず軽口は変わらないが、その中で彼なりの哲学や芯がある。よく見れば足を組まないし、テーブルも綺麗で私がいいと言うまでタバコも吸わなかった。彼は見た目こそ残念そのものだけど、きっとそういったものを塗り替えていくくらいの努力を重ねたのだろう。ちょっと彼に金を払ってあげても良いかと思った。まあ、チップよチップ。ひとつの経験として、ネタとしてこの場を楽しんでも良いかもしれない。さっきも別の宅でシャンパンコールが流れてたけど、あれめっちゃ気持ちよさそうだと好奇心に溢れてしまっていた。「そういえばさ、ホストといえばシャンパンコールね。」「えーー!!いやいやみなみちゃん!マジで闇深いぜそこは!職業変わっちゃうよ!教師に誇り持ってるんじゃないの?」「うっさいわね!金使うことないから安いのなら入れられるわよ!」「ああ、じゃあ……一番安いヤツいれる?」私は頷くと、店内の曲が少しだけ静かになる。「なんとなんと!コハク王子とこちら素敵な姫より!シャンパン1発頂いたということで!全員集合よろしく!」DJ OZMAの超がイントロだけ
last updateLast Updated : 2026-09-01
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松本みなみの婚活日記 9話

「さあ!今日はパーッとやるわよ、カンパーイ!」「……乾杯。」「か……カンパーイ!」アラサー女3人が生ビールの入ったジョッキをかわし、3人で酒を飲む。昨日と一昨日はなんか空虚感凄すぎて食事をほとんど取らなかったので本当に久しぶりの食事だ。テーブルには、アヒージョ、塩キャベツ、牛すじ煮込みなどのジャンルを問わないツマミが溢れていて、少し濃いめの味が私の体に染み込むようだった。「かーーーっ!くぅーーー!!」「宮島先生、いい飲みっぷりですね。」「もちろんよ!仕事終わりのビールほど美味いものはないわ!」宮島先生もおっさんみたいな一面があって少し安心する。私も一気に半分以上ビールを飲んでのどごしを味わうように飲んでいた。「そういえば、宮島先生はあの後2人とは……?」もう合コンのことはほとんど忘れかけたけど彼女なりの婚活の仕方とか……色々気になるものはある。選り取りみどりな感じがするから私とは世界が違うのかも知れない。「んー、連絡先交換した程度ね。」「え、以外です。」「なによ!私だってもう遊びきったから男くらい選ぶわよ!もう若くないんだから……どっちかと言うと金銭感覚とか一緒に生活する基準で男を見るようにしないも結婚できないか地雷踏むわよ。」若くないって言葉が妙にぐさりと刺さる。26ってもう若い部類に入らないのか……。「……全く、宮島先生はもっと味わった方が良い。」佐々木先生は物静かに飲みながら既に2杯目を飲み干そうとしていて、私達よりもはるかに早いペースで飲んでいた。「いや!佐々木先生、あんたねぇ……私よりも一回りも歳上なのに遊びすぎよ。」「……失礼な、より良い子孫を選ぶようにと遺伝子に従順なだけ。」え、佐々木先生って歳上なの?身長が140cm台だし、ショートボブが幼い雰囲気を出していたから24くらいかと思ってた。「え、佐々木先生っていくつなんですか?」「……ふふん、29よ。お姉さんと呼びなさい。」「29!?」本当に一回り歳上だった。私が中学生の頃にはこの人は高校生だったと言うくらい離れてる。それにしたって見た目が若すぎる。さっき入店した時も年齢確認されるくらいには若かった。「私も最初はびっくりしたけど……全然歳上な感じしないからラフに接してるけどね〜。」「へ……へぇ……。」宮島先生ってホントすごい。こういった
last updateLast Updated : 2026-09-01
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