――帰還可能人数 一名。――残留必要人数 一名。二つの扉。2026。1972。いのりと理人は、つないだ手を離さなかった。「……一人ずつ」いのりが呟く。「ああ」「理人さん」「言うな」「まだ何も言ってない」「顔で分かる」理人は、いのりの額を軽く小突いた。「痛い」「『私が残る』って言おうとしただろ」「……」「ほら」「だって」「だってじゃない」「私が始めたことなら」「いのり」低い声。「それ」理人が、いのりの目を見る。「もうやめよう」「……」「誰が始めたとか」「でも」「誰のせいとか」「……」「誰が責任取るとか」理人の手に、力が入る。「それをやった結果が、これなんだろ」いのりは、二つの扉を見る。その通りだった。葉月は、巌の未来のために消えようとした。すみえは、葉月を守るため悪者になろうとした。巌は、約束を守るため真実を隠した。理人は、いのりを未来へ帰すため、時間から消えようとした。そして。いのりも。みんなを救いたくて、何度も時間を書き換えた。「じゃあ」いのりは尋ねる。「理人さんはどうしたい?」「……」「私のためじゃなくて」理人を見つめる。「理人さん自身は、どうしたい?」長い沈黙。理人は、2026の扉を見る。それから。1972。そして。いのり。「帰りたい」はっきり言った。胸が、熱くなった。「2026年に?」「ああ」「私と?」「ああ」「本当に?」「何回聞くんだよ」「だって」涙が滲む。「よかった」理人が、少し笑う。「お前は?」「帰りたい」「2026年に?」「うん」「俺と?」いのりは笑った。「何回聞くの?」「仕返し」「帰りたいよ」一歩、理人へ近づく。「あなたと一緒に」理人の表情が、柔らかくなる。「じゃあ決まり」「うん」二人は、同時に2026の扉を見る。――帰還可能人数 一名。「……入れないけどね」「そうなんだよな」いのりは、思わず笑った。理人も笑う。絶望的な状況なのに。なぜか、少しだけ怖くなかった。今までと違う。二人とも、生きたいと言った。一緒に帰りたいと、言えた。「だったら」いのりは、扉へ近づいた。「このルールを疑おう」「ルール?」「だってお
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-05 อ่านเพิ่มเติม