放課後、多目的講堂にはすでに人が集まり始めていた。 椅子がいくつも並べられた空間に、まばらに三年生が座っている。ざっと見て五十人ほど。騒がしすぎるわけでもなく、かといって静かでもない、曖昧なざわめきが広がっていた。 蓮は中央付近の列に座り、前を見たまま何もせずにいた。 数秒後、横に人の気配が寄る。「ここ、いい?」 視線を向けると、椿が立っていた。その後ろに陽菜もいる。「ああ」 短く答えると、椿が隣に腰を下ろし、続いて陽菜がその隣に座る。「結構いるね。思ったより」 陽菜が周囲を見回しながら言う。「まあ、これでも絞られてるとは思うが」「人気そうだもんねー」「そんなことより、椿もやっぱりここか。」 椿が小さく頷く。 「やっぱり、IOCが見学できるのが大きいわね」「だろうな」「蓮くんは、FIFA?」「ああ。そうだな」「でしょうね」「二人とも私の存在忘れてない……?」「佐伯が来たのは意外だったな」「あ、ちゃんと認識されてた…… 私は椿と違って具体的な道を決めきれてないからね。普段行けないところで見聞を広めたいんだー」 その言葉に、蓮は意外そうに目を丸める。 「びっくりした? 彼女、こう見えてしっかりしてるのよ」「こう見えては余計じゃないかな!?」「ああ。てっきりただ海外に行けるからくらいだと思ってた」「天根くんまで!?」 そんな会話をしながら、待ち時間を過ごす。 やがて、扉が開く音がした。 数人の教師が入ってくる。 その中の一人が前に立ち、軽く手を上げた。「……全員いるな」 講堂の空気が少しだけ締まる。 名簿に目を落とし、ざっと確認してから顔を上げる。「国際交流コースを担当する高瀬だ」 一拍置く。「念のため確認するが、全員スイス希望でいいな?」 前方から「はい」と声が上がり、あちこちで小さく同意の声が重なる。 蓮は特に反応せず、そのまま前を見ていた。「よし」 教師は頷き、そのまま続ける。「本校の修学旅行は学科横断で行動する。各科二人ずつ、六人で一班だ」 ざわめきが一瞬だけ広がる。「スポーツ科、スポーツ栄養科、普通科。それぞれ二人ずつになるように組む。人数は調整済みだ。事前に面談もしているな」 何人かが小さく頷く。「近くの人間で固めていい。条件だけ満たせば問題ない。では、
Last Updated : 2026-09-25 Read more