第71章車はまだ路肩に停車したままだった。エアコンが静かにかかっているというのに、車内の空気は熱く火照っていた。二人の呼吸は乱れていた。身を引こうとするカメリアの体を、カルビンは離さなかった。あまりにも近い距離で視線が交差する——逃れようのないほど近くで。「行くな……」カルビンの声は低く、ほとんど囁きだった。カメリアは顔を背けた。その目はすでに濡れていた。「放してください、カルビンさん……」だがカルビンは放さなかった。二度と失うことを恐れるかのように、カメリアの肩を抱く手にさらに力がこもる。そして彼女に考える時間さえ与えず、カメリアを引き寄せた。彼の唇が、二度目となるカメリアの唇に触れた。最初は硬く、解消されない情熱に満ちていた。優しくもなく、荒々しくもない。あまりにも長い間何かを耐え続けてきた二人かのように。最初は拒んだカメリアだった。彼女の両手がカルビンの胸を押した。しかしゆっくりと……彼女の力が弱まっていった。疲れていたからか……それとも、感情が本当には消えていなかったからか。彼女の瞳が閉じられた。無意識に応答が返ってきた。カメリアはカルビンのキスを受け入れているかのようだった。互いの呼吸が混ざり合う。車内の空気はさらに静まり返り、二人の心臓の鼓動だけがより鮮明になっていく。カルビンはキスを下へと滑らせた。カメリアの首筋へとゆっくりと移動する。彼の唇が温かい肌に触れ、かすかだがはっきりと分かる痕を残していった。ひとつだけではなく。カメリアは唇を噛み、怒りと弱さが入り交じった感情を必死に抑え込んだ。「カルビン……もうやめて……」彼女は囁いた。だが男はまだ満足していないようだった。声には重みがこもり、カメリアをさらに強く抱きしめた。「お前は俺のものだ……」彼は呟いた。「昔も……今も……そしてこれからも。永遠に、お前は俺のものなんだ」カメリアは即座に目を開けた。その表情が一変する。残されたすべての力を振り絞り、彼女はカルビンを突き放した。「いい加減にして!」声は小さく震えていたが、毅然としていた。カルビンは沈黙した。カメリアはそっと自分の唇を拭った。そこにはかすかな笑みが……しかし冷たい笑みが浮かんでいた。「これ……」彼女は静かに言った。「さようならのキスよ」その一言が、カルビンを打ちのめした。カメリアは彼をまっすぐ
Last Updated : 2026-08-23 Read more