「あ、そう。まあ気が変わったら、いつでも相談に来て。ただし、力になれるかどうかは別問題だけどね。お邪魔様」 捨て台詞のように天音が去っていくのを彩花は立ち上がって見送ったが、天音の姿が見えなくなると、気が抜けたようにソファーに座り込んだ。「どうなるかと思った……」 体を伸ばして、彩花はそのまま横たわった。「いきなり義理のお姉さんが来て何を言うかと思ったら、あんなこと……。彩花、よく言ったわ、えらい」 さくらが感心するように拍手をした。「『富橋グループ』の娘さんと言い、彩花の周囲にいる社長令嬢たちは礼儀もマナーも知らない人たちが多いね」「ごめんね、二人にも迷惑かけて」「私たちは良いのよ。やっぱり、彩花はたくましい私たちの親友だってことが分かったから」「どういうこと?」 天音が座っていたソファーを手で軽く払い、さくらが座り込んだ。「家族とのことがあって、もしかしたらお義姉さんの実家に頼るって言い出すかと思ったの」「そんなわけないでしょ」 彩花は勢いよく体を起こした。「お義姉さんの考えは分かってる。きっと出資させて、この会社を思うようにしたいってことなんだよ」「それって、乗っ取りじゃん」 健太は慌てて目を見開いた。「お兄ちゃんもお義姉さんも、良心ってものがないんだよ。それは、私がよく分かってる」「そうね……」「それにさ、今更お義姉さんに借りを作ったところで、私はもう死んじゃうんだもん。初めから、お義姉さんの実家に頼るつもりなんてないから」 ケロッと笑いながら彩花は告げた。その言葉で、さくらと健太が黙ってしまい空気が変わったことも彩花は感じ取っていた。「しらけないでよ。私が亡くなった後は、さくらと健太で協力して、この会社の看板守ってよ。もちろん、『神宮寺ホールディングス』の出資の話だって変更したって良いんだよ。出資金を返せば、無理にあそこと付き合う必要もないし、何なら私の死亡保険の保険金で調整しても良いから」「やめてよ、そんなこと言うの」 さくらが声を荒げ、彩花は硬直した。「私はね、まだ彩花が死ぬなんて思ってないし、保険金なんて一銭たりともアテになんかしてない」「そうだよ。そんなもので会社守っても、彩花のためにならないって俺も思う」 健太も続けて冷静に言った。「この会社はさ、彩花とさくらと俺で創り上げた会社なんだよ。俺
Last Updated : 2026-10-06 Read more