さくらに促されて、彩花はジュリアンに先日病室で話した、唯花の亡くなった日の出来事を伝えた。そして、彩花の中で抱いている疑念のことも。「そっか……。けど、もう十五年前の出来事じゃ、何も分かんないね」 溜息をつきながらジュリアンが腕を組むと、彩花はもう一度墓石を見つめた。「自殺っていうのは、絶対に考えられないんだよ。さくらと遊ぶ約束をしてるからって、そのまま出ていったし、わざわざ家でそんなことするわけないし」「階段から落ちたことも、彩花は引っかかってるって前に話してくれたじゃん。だから、やっぱりただの事故死じゃないのかもね」 さくらも訝しい顔になった。 しかしこれ以上、この場で何かのやり取りをしたところで、解決できるわけでもなく、彩花とさくらはジュリアンと別れ、出社した。 彩花とさくらが遅めの出社をすると、既に健太が仕事をしていた。「おはよう。ごめんね、午前中休みもらって」「双子のお姉さんのお墓参りなんでしょ。もう少しゆっくりしてきたら良かったのに。それに、まだ退院してすぐの病み上がりなんだから」 書類を作っている手を止め、健太が優しく声をかけて来た。「一週間も休んじゃってたでしょ。さくらからは、休むことも仕事のうちだって、耳にタコができるぐらい言われたけど、だからってその言葉に甘えてそうそう休んでるわけにもいかないしね」 彩花が自分のデスクに座ると、パソコンの電源をつけて仕事を始めた。メールボックスを開くと、一週間の間に何十通ものメールが溜まっていた。「うわ、すっごいメール溜まってる」「こっちで対応できるやつは、返信してあるよ。急ぎの内容だったやつも、こっちの状況を伝えてあるから、返せるメールからやっちゃったら?」 さくらがそう言ってくれたので、彩花は一通ずつメールを確認し始めた。「あのさ、彩花……」 メールを見ている途中に、健太が難しい顔で目の前にやってきた。「どうしたの、健太」「二人がいなかった時にここに電話があったんだよ、彩花宛に」「私に?」「北城天音さんって人から」 彩花の顔が曇った。今では憎い存在となっている拓也の妻である。五年前の結婚式の時、きらびやかな純白のウェディングドレスを着ている彼女の姿が、彩花の脳裏に蘇った。「彩花の実家に、そんな人いたっけ?」 話を聞いていたさくらが尋ねてきた。「お兄ちゃんの奥
Last Updated : 2026-09-13 Read more