彩花は応接用のソファーにジュリアンを案内させ、向かい合うように座った。さくらがすぐに、お茶を運んできた。「ごめんね、突然来ちゃって」「ううん。私は別に大丈夫だよ」 さくらがデスクに座って仕事を始めると、彩花もジュリアンに早速話を振った。「それでジュリアン。私に話って?」「実はさ、ヘッドハンティングの話が出てるんだ」「ジュリアンに? 声がかかるなんて、良い話じゃん」「たださ、それが『KSインターナショナル』なんだよね」 彩花は唖然となり、さくらもパソコンのキーボードを打っていた手が止まった。「うちの実家が、どうしてジュリアンを……?」「じゃあやっぱり、彩花が頼んだわけじゃないんだね?」 彩花にはジュリアンの話の内容が理解できなかった。「当たり前じゃん。それに私は、もう実家とは縁を切ってるの」「そっか……」「ねえジュリアン。今、『頼んだ』って言ったけど、そのヘッドハンティングの話、誰に言われたの?」 怪訝そうに彩花が尋ねると、ジュリアンは一言、「お兄さんだよ」 彩花は思わずさくらと顔を見合わせた。「僕が働いてる会社の前で、待ち伏せしてたんだよ。そこで声をかけられて」 ジュリアンは、拓也との一連の話を彩花に伝え始めた。「『外資系企業とはいえ、ずっとここで働かせて良い人財ではない。良かったら、うちの会社に来ないか』って、お兄さんには言われた」「じゃあお兄さんは、あらかじめジュリアンのことを調べてたってこと?」 デスクからさくらが尋ねてきた。「まあ、今時いくらでも調べることはできるからね。それにお兄さんは、僕が彩花の同級生だってことも知ってたから」 彩花の中で、ますます拓也に対する疑念が強くなっていく。何故いきなりジュリアンを、自分の会社に引き抜こうとしているのか、その拓也の考えが全く分からないが、何かしらの目的がなければこのような行動に出るわけがないと、彩花は考えていた。「何でお兄ちゃんが、ジュリアンに声をかけたのか、私には分からないんだけどね」 そう言ったものの、『KSインターナショナル』を実質的に経営しているのが拓也であり、それを昨晩来訪した隼人が心配していたことを思い出した。「ねえ、『KSインターナショナル』のこと、ジュリアンは何か知ってる?」 ジュリアンは口を閉ざしてしまった。「何か知ってるんだね?」 問
Huling Na-update : 2026-09-23 Magbasa pa