慈善記録官室に届いた最初の問題書類は、思ったより美しい封筒に入っていた。 白地に金の縁取り。 封蝋には、優雅な百合の紋章。 差出人は、ホルスト伯爵夫人。 社交界では、慈善刺繍会を毎年開いていることで知られる夫人だった。 表向きには、孤児院支援に熱心な貴婦人である。 ただし、ローゼン侯爵夫人の集まりには一度も姿を見せていない。 つまり、新しい標準記録様式に対して、あまり好意的ではない側の人だった。 「……綺麗な封筒ですね」 ミレーヌが言うと、リーナは少しだけ眉を寄せた。 「綺麗な封筒ほど、中身が厄介なことがあります」 「経験則ですか?」 「最近、学びました
Last Updated : 2026-09-30 Read more