月曜日の朝、六時半に目が覚めた。 達哉はまだ眠っている。規則的な寝息が、部屋の奥から聞こえてくる。 沙耶はそっとベッドを抜け出した。いつものように、キッチンへ向かった。いつものように、コーヒーを入れた。でも今朝は、コーヒーカップを持ったままソファに座る前に、一度スマートフォンを手に取った。 土曜日に書いた、あの文章がある。 送信ボタンの手前で止まったまま、下書きフォルダに入っている。 沙耶は画面を開かずに、スマートフォンをテーブルに置いた。 まず、コーヒーを飲もう。 それだけを決めた。 窓から入ってくる光は、土曜日より少し白かった。月曜日の朝の光は、なぜかいつも少し硬い気がする。今日から一週間が始まる、という緊張を、空気が知っているのかもしれない。 コーヒーを半分飲んだところで、沙耶はスマートフォンを取り上げた。 下書きフォルダを開いた。 土曜日に書いた文章が、そのまま残っている。 佐伯様 お世話になっております、岸谷です。 ご連絡ありがとうございます。 現在、他の案件が重なっており、 佐伯様のご要望に十分にお応えできる状況ではないと判断しました。 誠に申し訳ございませんが、今回は辞退させていただけますでしょうか。 ご不便をおかけして、大変申し訳ございません。 岸谷沙耶 読んだ。 土曜日に読んだときと、同じ文章のはずだった。でも今朝は、少し違って見えた。 謝りすぎている。 「誠に申し訳ございま
Huling Na-update : 2026-09-04 Magbasa pa