「時國さん」「はい」企画案を修正中、隣の大原理紗から声を掛けられた。「昨日のアフタヌーンティーさ、誰と行ったの?」「え?」「インスタ。上げてたでしょ」こうなるのがわかってたから、写真を撮るつもりが無かった。インスタにアップなんてもってのほか。「ああ。あれはちょっと、成り行きで」「バラしちゃいなさいよ。こいつうるさいから」ダイヤさん。会社で普通に喋るのほんとやめて。「うん、成り行き。で、誰と行ったの?司くんと別れたばかりなのに、随分お盛んなんだね」「大原さんの企画はお盛んなの?どう?私、ちょっと見てもいいよ?」無遠慮には、無遠慮で返すべし。くねくねしたその動きが鬱陶し過ぎた。あえてのぐいぐい。パソコンのモニターは、相変わらず電源が入っていなかった。「大原さん。もしかして、モニター壊れた?」「え、なんで」「もう勤務始まって1時間半も経つのに」ちょっと声の音量、上げてみよう。「1時間半もモニターに電源が入らないなんて、大変!課長、大原さんのパソコン、電源が入らないみたいですよ。すぐ対応してあげてくださいよ。うちの課の、企画立案しまくりの期待のエースなんだから!」私の声に、みんなの視線が集中した。この第一営業課。大原理紗と課長の被害に遭ったのは新人の日菜ちゃん以外全員だ。「深月、やるわね」ふふふ。ダイヤさん。私だってね、やられっぱなしで生きてるわけじゃないのよ。──環、日菜ちゃん。肩が震えてる。やめて。私にも笑いが伝染しちゃうから。「深月、あれ。すごかったね」「ん?何のこと?」週に一度の、外でのランチ。同じ第一営業課の星宮唯《ほしみやゆい》さんがビル周辺のランチ事情に詳しいそうで、みんなで食べに行く習慣がある。大原理紗と課長は来ないけど。みんなが本音を言える、貴重な機会だ。「モニター壊れてる問題ですよ」環の言葉に、海鮮丼のお味噌汁を飲んでいた日菜ちゃんが吹きそうになった。「ちょ、環先輩」「でも、言ってくれてありがたいよ」同じテーブルの唯さんがどんぶりの中のマグロにわさびをつけた。「本当なら、私が苦言を呈しないといけない。ただ、課長がね」第一営業課の三宅課長。下の名前は知らない。知るメリットも感じられない。でも大原理紗なら知ってるかもしれない。責任を引き受けず、会議でそれっぽいことだけ言う人。こちらが
Zuletzt aktualisiert : 2026-09-15 Mehr lesen