Todos los capítulos de 『世界が凍る前に、俺だけが知っていた ~氷河期を警告して学界を追放された地球史学者、夏を失った人類の最後の希望になる~』: Capítulo 11 - Capítulo 14

14 Capítulos

第11話 裏切ったのは、最後まで信じてくれた人だった

第11話 裏切ったのは、最後まで信じてくれた人だった六月二十一日、午後一時二十二分。世界各地の研究者を集めた緊急オンライン会議が始まったとき、橘宗一郎はすでに機嫌が悪かった。正確に言えば、怒っていた。しかし今までのように、怒りに任せて誰かを責めれば済む状況ではないことも理解していた。パソコンの画面には三十六人の研究者が並んでいる。アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、日本。気候学、海洋学、大気物理学、農業気象学、古気候学、それぞれ専門も国籍も違う人間が、一つの異常事態を理解するために集められていた。その中には三年前、宗一郎の論文を批判した者もいる。逆に、最後まで擁護した者もいる。だからこそ、厄介だった。会議開始前から空気は重かった。誰もが、研究チーム内のドラフト資料が外部へ流れたことを知っている。ニュースでは朝から、《来年も夏は来ない》という言葉が世界中を駆け巡り、食料だけでなく種子、肥料、飼料、防災用品まで買い占めが広がっている。研究者たちは観測データを分析するために集まったはずだった。それなのに、今は互いの顔を疑っている。宗一郎が最も恐れていた状態だった。「始めます」宗一郎は静かに言った。声を荒らげるつもりはなかった。その代わり、普段以上に低い声になった。「最初に、今日の会議では二つの問題を扱います。一つは昨夜からの解析結果。もう一つは、研究チーム内資料の外部流出です」何人かが視線を逸らした。アーロン・グレイが口を開く。『先に解析をやらないか』宗一郎はグレイを見る。「なぜです」
last updateÚltima actualización : 2026-09-20
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第12話 暖かくなる。それが一番危なかった

第12話 暖かくなる。それが一番危なかった六月二十二日、午前七時十八分。東京の気温は、九・六度まで戻っていた。前日の同じ時間と比べれば、体感はまるで別の季節だった。九度台が六月として異常に低いことに変わりはないのだが、氷点近くまで落ち込んだ二日前を経験した人々にとっては、十分に「暖かい」と感じられる気温だった。歩道の雪はほとんど消え、ビルの屋根から水滴が落ち、駅へ向かう会社員の中には厚手のダウンジャケットを脱いで腕に抱えている者もいる。テレビでは朝から、《寒波いったん緩む》《週後半は気温回復へ》《東京、最高気温十五度予想》という見出しが並んでいた。そして、ほんの二日前まで空になっていたスーパーの棚にも商品が戻り始めていた。物流会社が夜を徹して配送した結果だった。米。水。乾麺。缶詰。完全ではない。一部の商品は相変わらず購入制限が続いている。それでも棚に商品が並んでいるというだけで、人々の表情は明らかに変わっていた。「ほら、やっぱり大丈夫だったんじゃん」都内のスーパーで、若い男性客が友人へ笑いながら言った。「俺、親に米送れって言われて五キロ二袋も買っちゃったよ」「食えばいいじゃん」「一人暮らしで十キロどうすんだよ」「来年まで持つだろ」二人は笑う。その会話を少し離れた場所から聞いていた美咲は、マイクを持ちながら何とも言えない顔をした。隣でカメラを構えていた佐野が小声で言う。「昨日まで殺気立ってた店と同じとは思えんな」「人間、慣れるの早いですね」「安心
last updateÚltima actualización : 2026-09-21
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第13話 二度目の寒波は、一度目より残酷だった

第13話 二度目の寒波は、一度目より残酷だった六月二十三日、午前零時十二分。橘宗一郎は、つい数分前まで眠るつもりだった布団から完全に抜け出し、再び仕事机の前に座っていた。枕元から持ってきた眼鏡をかけ、パソコンを立ち上げる。眠る前に落とした部屋の照明も点け直したが、古民家の中はまだ夜の静けさを残しており、ファンの回転音と、壁の時計が刻む小さな音だけが耳についた。画面には、アーロン・グレイから送られてきた北米上空の最新データが表示されている。カナダ北部で形成されつつある巨大な冷気塊。宗一郎は、最初の寒波と比較するため二つの画像を横に並べた。一度目は、大気の流れが大きく蛇行した結果、北極圏の冷気が一気に南へ流れ込んできた。今度は違う。大陸内部で冷気が蓄積し、それを北側から高気圧が押し出そうとしている。速度はまだ読めない。進路も確定していない。それでも、南下した場合に通る可能性が高い場所は、宗一郎にとって最悪に近かった。カナダ南部。アメリカ中西部。世界でも有数の小麦、トウモロコシ、大豆の生産地帯。「どうして、そこなんだよ」思わず日本語で呟いた。通話を繋いだままだったグレイが聞き返す。『何と言った』「何でもありません」『顔を見る限り、私と同じことを考えているようだが』「だったら聞かないでください」『寝起きで機嫌が悪いな』「寝かけた瞬間に起こしたのは誰です」『自然だ』「責任転嫁が上手くなりましたね」グレイが小さく笑った。ほんの数秒。二人とも、すぐ画面へ戻る。
last updateÚltima actualización : 2026-09-22
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第14話 金を払っても、船は来ない

第14話 金を払っても、船は来ない六月二十四日、午前五時五十八分。橘宗一郎が目を覚ましたとき、長野の空はまだ薄暗かった。窓の外では霧が低く垂れ込め、濡れた地面の上を白い靄が這っている。数日前まで積もっていた雪はほとんど姿を消していたが、気温は七度しかなく、六月の朝としては相変わらず冷たい。それでも宗一郎は、久しぶりに三時間以上続けて眠ることができた。身体の疲れが取れたとは言い難い。ただ、起きた瞬間に自分がどこにいるか分かるだけでも、昨日までよりましだった。枕元のスマートフォンを取る。通知は二十七件。そのうち十五件が政府関係。六件が国際研究チーム。三件がグレイ。二件が美咲。そして一件が重雄だった。まず重雄。《朝飯ある。玄関前》宗一郎は思わず笑った。「宅配業者みたいになってるな」玄関を開けると、保温容器と小さな紙袋が置かれていた。中身は炊き込みご飯と漬物。紙袋には卵。宗一郎は容器を持って台所へ戻りながら、次に美咲のメッセージを開いた。《今日はちゃんと寝た?》二時間後。《返事ないなら寝てると思っとく》宗一郎は、《今起きた。三時間半》と返した。数秒後、既読。早い。《快挙》《五十二歳に言う言葉か》《最近のお父さん基準なら》宗一郎は苦笑する。《朝食もある》《誰が作ったの》《小林さん》《完全に
last updateÚltima actualización : 2026-09-23
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