オークションで、和哉の『最愛』シリーズの最終作――『再会』に、なんと2億4千万という破格の値がついた。淡い紫を基調にした油彩画だった。満天の星空の下、白いドレスをまとった少女が静かに佇んでいる。その背後には、夢のようなバイオレットの花畑が広がっている。少女の瞳は星のように澄み、どこまでも純粋で、見る者の胸を掴むような儚さを湛えていた。和哉は繊細な筆致とロマンチックな色彩で、夢のような美しい光景を描き出している。絵の中の少女は、生命力に満ち、息を呑むほど美しく、誰もが心の奥に思い描く「忘れられないあの人」そのもの。絵を見た人たちは、口々に言った。――この絵のモデルは、きっと愛さんだと。そして、和哉は絵の隅に、愛情のこもった言葉を残していた。――「最愛の愛ちゃんへ」。落札を告げるハンマーが鳴り響く。『最愛シリーズ・再会』を競り落としたのは、外国人のコレクターだった。インタビューに応じた彼は、カメラに向かって、祝福の言葉を口にした。「立花さんと奥さんの愛にとても感動しました。私は『最愛』シリーズが大好きです。2人がいつまでも仲良く、ずっと幸せでありますように!」会場は、大きな拍手に包まれた。画面に映る、どこか憂いを帯びた和哉は、真っ白なシャツに身を包み、ほんの少し口元を緩めている。向けられる祝福も、称賛も、素直に受け止めていた。オークションのライブ配信には、私たちの愛を称えるコメントが次々と流れていく。【和哉さんが注目されるようになったのって、愛さんに支えてもらえたからなんだって!愛さん、まさに「夫を成功させた妻」って感じ!】【大学卒業後、和哉さんは就職せずにずっと創作に専念してたんだよね。愛さんが働いて生活を支えてたからこそ、今の和哉さんがあるんだと思う!】【下手な恋愛小説より感動するんだけど!こんな夫婦、現実にいるんだ】【和哉さん、人気俳優と並んでも顔が全然負けてない。愛さんも綺麗だし、仕事ができるし、この2人は推すしかない!】スマホには、途切れることなくメッセージが届いていた。【愛さん、おめでとう!長年の苦労が報われたね!】【愛さんのこと、嫉妬しちゃうくらい羨ましいよ!】【愛、今日は結婚記念日でしょ?和哉さんが絵を出したのって、愛へのサプライズなんじゃないの?ロマンチック
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