「ママ〜、ゆうとくん家行く〜」「またぁ⁉︎ 奏、昨日も遊びに行ったじゃない。ご迷惑になるわよ」「ゆうとくん家に行く〜!」 3歳になった奏は暇さえあれはいつも山橋家に向かうと駄々こねる。生まれたばかりの悠人を1人で世話するのは大変なので私たちもよく家を尋ねてはいるのだが……昨日の今日では悠輔もゆっくり出来ないだろう。「奏、パパと手漉き和紙作ってみないか?」「ゆうとくん家行くもん〜!」 私の提案はあっさり無視され少し打ちのめされる。全然和紙に興味無さそうだ。3歳児の駄々をどうしたものか……と夫婦で困っていれば、インターホンが鳴りなんと悠人を抱えた悠輔が玄関の前にいた。「海都さん、楓さん、ごめんなさい……俺をちょっと1人にさせてくれませんか」 * 芦屋家に悠人が来たことで奏は大喜びだった。山橋家に向かうことではなく悠人に会うことが目的だったのだろう。「ゆうとくん、かわいーねえー」 ベッドの上で静かに眠っている悠人の手をそっと握りながら奏は隣にいる。兄にでもなった気分なのだろうか。 悠輔は悠人を預けたきり外出してしまいどこに向かったのかわからなかった。「あなた……もう一度一緒に暮らさない? 生まれたばかりの子供を育てながら働くのは大変よ。わたしが奏を産んだ時だって……結人さんがよく面倒を見てくれていたもの」 楓がぼそっと私に言う。 芦屋家的には反対することなど何もない。あとは悠輔の気持ち次第なのだが……彼はいつも「大丈夫ですから!」と明るく言って断っていた。 しかしそろそろ限界なのではないだろうか。「結人くんはもういないからな……」 昼間から夕方、そして日が暮れても悠輔が戻ってくる気配は無い。心配に
Last Updated : 2026-10-30 Read more