病院からを後にした時「芦屋さんに会わせたい人がいるんです」と悠人が言い、山に戻る前にマンションに寄る。「ここは?」「行き場の無くなったΩの人たちを保護するマンションらしいです。俺も最近知って」「そうなんだ。でも僕とどう関係が……αが来たら怖がりそうだし……」 駐車場に車を停めると悠人もお父さんも降りる。僕もついていくと門に施錠された暗証番号8桁をお父さんが打ち込んで中に入っていく。 僕と面識ある人がいる? わけわからないままについていくと玄関の前でインターホンが押され、中から小さな老婦人が出てくる。「……あ! 大家のおばあさん!」「まあ! まあまあ! 芦屋くん!」 そうだった。アパートは溝口の強行によって無くなっていたのだった。 どうしてそこまで頭が回らなかったのだろう。僕はずっと自分のことばかりだ。 僕が溝口に監禁されている間、大家はここに保護してもらっていたんだ。 溝口に怒鳴られた上に立ち退きにさせられたなんて。世の中はαの思い通りになり過ぎている。皆が途方に暮れていたところに、山橋家の2人が手を差し伸ばしてくれた。「あの。ごめんなさい。僕が変な人に捕まってしまって──」「いいのよ芦屋くん! あなたに怪我は無い⁉︎ うちのアパート、βとΩが多かったから芦屋くんが住んでくれた時はとても心強かったのよ!」「で、でも結局立ち退きになってしまって」「そういう運命だったのよ。きっと芦屋くんが住んでいなかったら早々に立ち退きにさせられていたところだったから。やっぱりαが1人いると違うものね〜。長い間あのアパートを守ってくれてありがとうね。今は休んでね。ほら、みかん! 山橋くんも!」 大家からみかんを5つもいただいてしまった。 家具などは結局破棄になってしまったが、大家が立ち退きになる直前に合鍵を使って通帳を預かってくれていたらしい。そうだ。大事なお金。全てが頭から抜け落ちている。 ペコペコ頭を下げれば「また遊びに来てね! 絶対よ!」なんて固い握手をされ、なんだ
Last Updated : 2026-10-01 Read more