初めてだった。病院という公的な空間を離れ、白衣もなしに二人きりで向かい合って座るのは。スヨンが出ていったあと、広い個室に気まずくも甘い静寂が降りた。ミレはティーカップを持ち上げて唇を湿らせ、ジニはその細い指先を見つめてから、遅れて視線を逸らした。病院で見ていたアン・ミレとは、また違っていた。患者でも、グラビアの中の完璧な妻でもない、一人の女と向かい合っている。その事実が改めて胸を打った。ミレもまた、ジニをじっと見つめていた。白衣を脱いだ彼は、思っていたよりずっと若く、くつろいで見えた。きちんとまくり上げたシャツの袖から覗く手首と、ティーカップを包む長い指が、不思議なほど目に入った。視線を上げると、自分を見つめていたジニと目が合った。二人とも、すぐには目を逸らせなかった。ほんの数秒だった。けれどその間に、また会えたという喜びと、二人きりになったときめき、そしてこの瞬間を密かに待っていたという、決して知られてはいけない気持ちまで、すべてが行き交った。ミレが先に目を伏せた。ティーカップの縁を指先でゆっくりとなぞった。白かった耳の先が赤く染まっていくのを見て、ジニの口元には思わず微笑みが浮かんだ。彼はティーカップを置き、低い声で尋ねた。「膝はもう、完全に大丈夫ですか?」ミレがふっと笑った。「会うたびに膝の話ですね?」「僕にとっては、とても重要な問題です」「どうして?」冗談めいた問いに、ジニの返事が一瞬遅れた。彼は、笑みを含んだ目元とわずかに上がった唇、そして答えを待ちながら自分だけにまっすぐ向けられた澄んだ瞳を、ゆっくりと目に焼きつけた。「模範患者ですから」いかにも医者らしい答えだった。けれど、その声は医者のものではなかった。ミレも、それに気づいた。ジニはティーカップを持ち上げた。だが、茶を飲みはしなかった。ミレに向けた視線を隠すように、しばらく口元へ運んだだけだった。二人の視線が、再び絡み合った。ジニの瞳が、少しだけ深くなった。ミレは目を逸らさなければと思いながらも、視線を外せなかった。その瞳の中で、自分がどれほど美しく映っているのか、言葉にされなくてもわかった。会話が途切れても、どちらも先に視線を逸らさなかった。テーブルの下で、ミレのつま先が無意識に内側へ縮こまった。ジニは乾いた唾を飲み込み、ティーカッ
Last Updated : 2026-10-01 Read more