جميع فصول : الفصل -الفصل 20

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第12話  信じるということ

翌朝、美咲はいつもより早く目を覚ました。窓の外には、昨日と同じような曇り空が広がっている。目を覚まして最初に思い浮かんだのは、昨夜の蓮の顔だった。──黒崎さんは、もう亡くなっていました。何度思い返しても、その言葉が胸に残る。そして、もう一つ。「まだ、話せません」あのときの蓮は、何かを隠しているというより、何かを思い出すことさえ苦しんでいるように見えた。けれど、それだけで彼を信じていい理由にはならない。美咲はベッドの上でゆっくり起き上がった。「……私、どうしたいんだろう」答えは、すぐには出なかった。蓮を信じたい。でも、信じることと、何も疑わないことは違う。美咲は昨日、蓮自身から聞いた言葉を思い出す。事件のあと、自分の名前を捨てた。警察から逃げた。そして、証拠の一部を隠した。そこには、美咲の知らない五年間がある。そのすべてを知らないまま「大丈夫」と言うことは、蓮にとっても美咲にとっても、きっと優しさではない。美咲はスマートフォンを手に取った。蓮からのメッセージは届いていない。少し迷ったあと、検索画面を開いた。「黒崎誠一 殺害事件」何度も見た検索結果が並ぶ。五年前の事件。
last updateآخر تحديث : 2026-09-24
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第14話  消えた時間

高瀬からもらった名刺を、帰宅してからも美咲は机の上に置いたままにしていた。何度も手を伸ばしかけて、結局触れない。そこには、五年前の事件をもう一度調べようとしている人の名前がある。そして、その人は言った。──殺人を裏付ける決定的な証拠はなかった。その言葉が、ずっと頭に残っていた。美咲はパソコンを開く。画面には、昨日調べた新聞記事が表示されている。黒崎誠一が殺害されたのは、五年前の六月十八日。午後八時過ぎ。現場となったのは、黒崎グループ本社の別館にある役員用フロアだった。美咲は事件当日の記事をもう一度読み返した。そこには、事件発覚までの経緯が書かれている。午後八時十二分。黒崎の秘書が、連絡がつかないことを不審に思い、役員フロアを訪れた。午後八時二十分。黒崎の遺体が発見される。警察へ通報。その後、現場付近にいた桐谷蓮の存在が判明した。美咲はそこまで読んで、画面を止めた。「……午後八時十二分」蓮が言っていた。会社に着いたときには、黒崎はもう亡くなっていた。では、蓮は何時に会社へ入ったのだろう。記事には書かれていない。美咲は高瀬に教えられた防犯記録のことを思い出した。
last updateآخر تحديث : 2026-09-26
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第17話  知られていたこと

 翌朝、美咲はいつもより早く目を覚ました。 眠ったはずなのに、頭の中には昨夜のメッセージが残っている。『高瀬徹にも、連絡しないでください』 何度見ても、そこに書かれている言葉は変わらない。 美咲はスマートフォンを伏せた。 怖い。 でも、ここで怯えて何もしなければ、相手の思う通りになる。 そう思って、高瀬に連絡を入れた。 昼休み、高瀬から折り返しの電話がかかってきた。「水城さん。昨日の件だが」「はい」「メッセージの内容を教えてもらえるか」 美咲は届いた文章をそのまま伝えた。 高瀬は途中で口を挟まず、最後まで聞いていた。「……高瀬さん?」「そのメッセージ、保存してあるか?」「はい。消していません」「スクリーンショットも撮った?」「今朝、撮りました」「それなら、そのまま残しておいてくれ」 声が少し低くなる。「こういう警告が来た場合、内容だけじゃなく、送られてきた時間も重要になる」「時間、ですか?」「ああ。誰が送ったか分からなくても、こちらの動きをどの時点で把握していたのかが分かるかもしれない」 美咲は昨夜のことを思い返した。 蓮に電話をした。 事
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第20話  地下に残された記録

 翌日の昼休み、美咲は高瀬と会っていた。 テーブルの上には、昨日見つけた写真が置かれている。「これが、封筒に入っていた写真です」 高瀬は写真を受け取り、裏側を確認した。「六月十八日、地下……か」「その先が破れていて読めません」「撮影された場所が地下駐車場なら、調べられるかもしれない」「五年前の記録が残っているんですか?」「全部ではない。ただ、当時の入退館記録と駐車場の管理記録は一部残っている」 高瀬は写真を返した。「黒崎グループは大きな会社だった。来客用の駐車場とは別に、役員専用の区画があった」「蓮が入ったのも、そこですか?」「いや」 高瀬は首を横に振った。「桐谷君の入館記録は、正面玄関からになっている」「じゃあ、地下には……」「それを確認したい」 二人はその日の午後、黒崎グループが現在も保管している過去の管理記録について確認することにした。 もちろん、五年前の資料を簡単に見せてもらえるわけではない。 高瀬が以前の捜査関係者として正式に問い合わせ、美咲は同席する形になった。 しばらく待たされたあと、担当者が数冊のファイルを持ってきた。「かなり古いものですので、欠けている記録もあります」「承知しています」 高瀬が答えた。
last updateآخر تحديث : 2026-10-02
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