「……見吉圭」 美咲は、古い契約記録に残された名前を見つめていた。 何度読み返しても、名前は変わらない。 見吉圭。 五年前、黒崎グループのシステム保守を担当していた契約社員。 そして、事件の直後に契約を打ち切られた人物。 「これで、名前は確認できたな」 隣で高瀬が低く呟いた。 「はい。でも……」 美咲は、資料から顔を上げる。 「見吉さんが真犯人だとは、まだ言えませんよね」 「その通りだ」 高瀬は即答した。 「事件当時、見吉がどこにいたのか。黒崎と接触したのか。殺害に関わったのか。そこまでは、この記録だけじゃ分からない」 「それに……」 美咲は、野村の証言を思い出した。 事件翌朝。 地下搬入口。 帽子を深くかぶった人物。 そして、その人物が拾った紙片。 そこに書かれていた数字──。 「72」 「高瀬さん」 「なんだ?」 「野村さんが見た人物について、もう一度確認したいです」
آخر تحديث : 2026-11-02 اقرأ المزيد