地下保管庫から見つかった黒いファイルを前に、美咲は黙り込んでいた。 ファイルの中には、黒崎グループの不正取引に関する資料。 そして、事件当時には存在していなかったはずの第三の人物の名前。 その名前が記された一枚だけ、明らかに紙が新しい。 「誰かが、事件のあとでこのファイルを作り直した……」 高瀬が呟いた。 「はい」 美咲は頷く。 「でも、それならどうして、こんなに古い資料の中へ混ぜたんでしょう?」 「本物の資料に紛れ込ませたほうが、見つかりにくいからでしょうね」 蓮は黙ってファイルを見つめていた。 美咲は、その横に置かれた社員証を見た。 榊原の社員証。 そこには、あの数字が残されている。 ──18・32・07・11・4。 「……やっぱり、この数字が気になります」 高瀬が顔を上げる。 「私もです」 「最初は保管場所を示す番号だと思っていましたよね」 「ええ」
آخر تحديث : 2026-10-13 اقرأ المزيد