驚くかもしれないが、爆豪勝己の名前一つとっても裏話が詰まっていると感じている。
堀越先生が用いた漢字『爆豪勝己』は見た目どおりの直球で、性格や能力を端的に表現している。『爆』が示す通り、手のひらから出る汗がニトログリセリンのように爆発を引き起こすという設定は、ただの派手な能力ではなく身体性に根ざしたもので、武器(地雷のような手装備)と密接に結びついている。あのグレネード形状のガントレットは、単に格好いいだけでなく「汗を貯めて大爆発を起こす」ための実用的なプロップとして設計されている点が好きだ。
加えて、アニメ化によって声の熱量が加わり、原作の荒々しさだけでなく脆さも伝わるようになった。公式ブックレットやSBSで垣間見える設定メモからは、最初からのライバル像と、後に見せる成長の余地を意図して作られたことが
窺える。単なる“強気なライバル”以上の複層的なキャラクター造形が、制作側の細かい仕込みに由来しているのだと改めて感じる。