最近読んだ中で特に印象に残っているのは、'ワンピース'のモモの助とヒヤリをメインに据えた『月下の誓い』という作品です。
このファンフィクションでは、ワノ国での出来事を経て、モモの助が将軍としての自覚と責任をどう受け入れていくかが丁寧に描かれています。ヒヤリとの関係性も、単なる幼なじみ以上の深みを持たせてあり、彼女への想いが彼の決断にどう影響を与えるかに焦点が当てられています。
作者はモモの助の内面の葛藤を、侍としての誇りと少年としての未熟さの間で揺れる様子で表現していて、特に夜明け前にヒヤリと交わす会話シーンは胸を打ちます。リーダーとしての覚悟を決める瞬間に、ヒヤリの存在がどれほど大きかったかが伝わってくるんです。ストーリー後半では、ふたりの絆が試される大きな事件が起こり、それがモモの助の成長のターニングポイントになります。
この作品の素晴らしいところは、原作の設定を忠実に守りつつ、キャラクターの心理描写をさらに深掘りしている点です。モモの助がヒヤリを守りたいと思う気持ちが、単なる恋愛感情ではなく、国を背負う者同士の理解へと昇華していく過程が感動的でした。