彼を頂点に押し上げたのに、選ばれたのは女性同僚だった五年間、陰ながら支えてきた私は、彼氏をパラリーガルから大手法律事務所のパートナーにまで押し上げてきた。
事務所の年間表彰式で、私は心から祝福するつもりで、サプライズを用意していた。
しかしそこで目にしたのは、親密に並んでステージに上がる彼と、女性同僚の姿だ。
「深沢俊也(ふかざわ しゅんや)が今日ここまで来られましたのは、すべて私が裏で知恵を貸したおかげですよ」
新田結衣(にった ゆい)は誇らしげに言い放つ。
彼も笑みを浮かべてうなずく。
「確かに。結衣がいなければ、今の私はなかったです」
会場は拍手喝采に包まれ、次々と祝辞が寄せられる。
人々の影に立ち、私はまるで氷穴に突き落とされたかのように感じた。
会場を出た私は、アシスタントに電話をかける。
「俊也への人脈支援はすべて撤回して、今後の協力も打ち切る。彼が前に引き受けたあの違法案件もこれ以上は関与しないで、自分で始末をつけさせなさい」