社長令嬢だと知らずに、私をクビするつもり?新しく入ったインターンが、初日からやらかした。なんと、会社のブレーカーを落としたのだ。
全員が残業して作っていたデータは、一瞬にして消え失せた。
怒り心頭で問い詰めると、張本人の安西玲奈(あんざい れな)はさも被害者のような顔をして言った。
「だって、皆さんが遅くまで残業してて可哀想ですから……
早く帰らせてあげようと思っただけなのに。
なんでそんなに怒るんですか?」
幸い、私の上司であり恋人でもある江川健太(えがわ けんた)のパソコンには、全員分のバックアップが保存されているはずだ。
私はすぐに彼の元へ向かったが、健太はただ首を横に振った。
「このプロジェクトの責任者はお前だろ?俺に頼るなよ。
それに、玲奈もみんなのことを思ってやったんだ。
悪気はないんだし、許してやれよ」
その言葉に、私はブチ切れた。
このプロジェクトが会社にとってどれほど重要か、彼は知っているはずだ。
それなのに玲奈は、鼻で笑い、小馬鹿にしたように言い放った。
「たかが社畜の分際で、経営者気取り?
会社の犬になって、そんなに気持ちいいわけ?」
あまりの言い草に、怒りを通り越して笑いが出てきた。
私はスマホを取り出し、社長にメッセージを送った。
【お父さん、プロジェクトがダメになりそう。今回は健太のことも庇わないから】