九十九回の裏切り、見つけた本当の愛「心の底から愛してる」
そう囁く恋人・尾崎純一(おざき じゅんいち)は、九十九回も役所から逃げ続けた男だった。
あろうことか彼は、結婚を引き延ばすため、白井茉里(しらい まり)を巻き込む事故を偽装し、彼女のお腹の子さえ奪ってみせた。
絶望に沈む彼女の耳に、純一の嘲笑が突き刺さる。
「七年間の恋人ごっこ?ぜんぶ舞奈のための復讐だよ。あいつが本気になったら負けだ」
七年間のすべてが、嘘。
奈落の底に突き落とされた茉里だったが、幸い、まだ「次の一手」は残されていた。
彼女は正気を戻し、別の男からの求婚を受け入れる。
純一が愚かにも「百回目の逃亡劇」を計画している、まさにその時。
茉里は彼を捨て、新天地・港海市へと嫁いでいく――