世は短く情は長し兄・白川雅也(しらかわ まさや)が図書館で大学受験の勉強をしていた時、銃で誤って撃たれ、血が止まらなくなった。
通りかかった私・白川心未(しらかわ ここみ)は見て見ぬふりをし、足早にその場を去った。
前世で私がそれを見て、急いで病院へ運んだからだ。
兄は頭部を負傷し、それが原因で脳内出血を起こし、緊急手術が必要になった。
私はすぐさま、市内で最も腕利きの脳神経外科医である母・白川朋美(しらかわ ともみ)に電話をかけ、一刻も早く病院に来てくれるよう懇願した。
しかし母は、義妹・白川結月(しらかわ ゆずき)と海に行って私を置いていったことへの嫉妬から作り話をしていると思い込み、頑として戻ろうとしなかった。
結局、父・白川宗介(しらかわ そうすけ)や家族が病院に駆けつけた時には、兄はすでに手遅れで亡くなっていた。
家族は皆、兄の死は私のせいだと責めた。私がわざと母に誤解を与え、兄の治療の機会を逃させたのだと。
遠方から駆けつけた母は、感情を抑えきれず、私を階段から突き落とし、血を流して死んでいく私を見つめていた。
再び目を開けると、私は兄が図書館で銃殺されたその日に戻っていた。