愛人妊娠で即離婚、その後、元夫は後悔した妊娠八ヶ月のとき、私・小倉桃子(おぐら ももこ)は夫の伊藤克弘(いとう かつひろ)に離婚を切り出した。
彼は鼻で笑った。
「彼女に産後ケアセンターを予約してやったけど、お前にはしなかったから、それで腹を立ててるのか?」
「うん」
彼は軽い気持ちで離婚協議書にサインをした。
「じゃあ、早めに家を出て行ってくれ。そうすれば俺も彼女の面倒にもっと専念できる」
結婚して五年、克弘が十回浮気した。私はそのたびに許してきた。
彼は私が絶対に離れられないと、そう思い込んでいる。
でも、彼は知らない。
今回のことは、ただのきっかけにすぎない。
産後ケアセンターは私自身でちゃんと予約してある。そして、去るための飛行機も手配してあった。
今回こそ、本当に終わりにする。