君の知らない愛の跡高校時代、浅井湊人(あさい みなと)を振ってからというもの、彼は絶え間なく恋人を替え続け、その数は九人にものぼっていた。
同窓会の席、湊人は十人目となる現在の恋人を連れて現れ、私たち一人ひとりに招待状を配り歩く。
周囲ははやし立て、ニヤニヤしながら私、佐藤夏海(さとう なつみ)に目配せを送った。
私は胸を締め付けられるような痛みを感じながらも、毅然とした態度で立ち上がり、彼らを祝福する。
湊人は鼻で笑った。「俺の結婚式当日、お前の口から直々に祝いの言葉を聞かせてもらいたいもんだな」
私は微笑んでそれに応じたが、背を向けた瞬間に、バッグの中の診断書をそっと指先でなぞった。
来月の二十日か。
どうやら、そこまで私の命は持ちそうにない。