愛が消えてからそれぞれ道を行く大晦日。
冷えた食べ物はテーブルの上にいっぱい置いている。
私・古川千晴(ふるかわ ちはる)は一人で、結婚七年目の夫・周藤時哉(しゅどう ときや)を待つ時に、彼がSNSに投稿した展望レストランで撮った写真を見かけた。
彼は俯き、彼の思慕している女性・水野優華(みずの ゆうか)にキスしている。
それから彼に電話をかけたが、呼び出し音が鳴り続け、自動で切れるまで出なかった。もう一度かけ直して、ようやく彼が出た。
「今どこ?」と、私は聞いた。
彼はしばらく黙って、「残業中だ」と答えた。
「レストランで好きな人と一緒に残業してるの?」
電話の向こうの彼は相変わらず沈黙したまま。
私は非常に静かな声で口にした。
「またそうするの?答えられない質問に、黙り込むなんて。
そうならもう二度と聞かない」