別れさせ屋の復讐:クズ夫の末路私の職業は特殊だ。専門は「別れさせ屋」
裁判や協議離婚のサポートではない。それは弁護士の仕事だ。
世間では愛はプライスレスだと言われているが、ほんの一秒前までパートナーに「愛している」と囁いていた男女が、次の瞬間には私に高額な依頼をしてくることも珍しくない。
例えば今。私のスマホには、夫の藤堂蒼介(とうどう そうすけ)からメッセージが届いたばかりだ。結婚記念日の旅行先は、海外のロマンチックな街が良いか、それともリゾートが良いかという問い合わせである。
しかしその次の瞬間、清楚な顔立ちをした若い女が私のオフィスに入ってきた。
女は怯えたような様子で、多大な勇気を振り絞って口を開いた。
「彼氏の代わりに依頼をしたくて来ました。彼、奥さんと離婚することに決めたんです」
私は曖昧な態度のまま資料を手に取ったが、そこに蒼介の名前を見つけてしまった。
私の手がピタリと止まる。しかし目の前の女はうつむいたまま言葉を続けた。
「彼が言うには、奥さんは良い人だから、傷つけたくないって」
私は微笑み、資料の写真を見つめた。そこに写る蒼介の顔は、見慣れているはずなのにどこか見知らぬ他人のようだった。
心の中で深くため息をつく。
別れさせ屋となって三年目。私はついに、自分自身の案件を引き受けることになったのだ。