彼氏はベストマン姿で現れたが、私は本物のベストマンと結婚結婚式で、斎藤郁也(さいとう ふみや)はベストマンの服を着て、初恋の新垣笑菜(あらがき えみな)と腕を組み、遅れて会場に現れた。一方、新郎の礼服は無造作にソファに投げ捨てられていた。
「郁也、今日は私たちの結婚式じゃ……」
「砂月恋(さつき れん)!」
郁也は鋭い声で私の言葉を遮り、その目には警告の色が濃く浮かんでいた。
「言うべきことと言ってはいけないこと、わかってるだろう。大人になれ。お前を憎みたくない」
私は苦笑いした。
郁也の初恋が記憶喪失になり、周りの人は皆彼女の記憶探しゲームに付き合っている。
だから皆は彼女を刺激しないように嘘をつき、慰めなければならなかった。
私をなだめるように、郁也は近づき抱きしめ、耳元で静かに囁いた。
「恋、俺の気持ちを理解してくれるよな?」
私は頷き、理解を示し、本当のベストマンの手を取って結婚式の会場へと歩み出した。
その後、妊娠中にショッピングモールで買い物をしている時、彼は私を引き止め、涙を浮かべながら言った。
「恋、俺たちは最初からずっと演技をしてたんじゃなかったのか?どうして妊娠したんだ?」