今、あの時の過ちを知るかつて私だけが、都で唯一、皇太子を恐れぬ女だと言われていた。
そして、あの日、公の場で彼は宣言した。
「必ずや汝を皇太子妃として迎へ、この世にては唯だ汝ひとりを妻とする」と。
しかし、江南へ巡視に出た折、彼は脳の病気を患った花魁に出会った。
彼女が「この方以外には嫁がない」と言い張った結果、彼は進んでその花魁の身請け金を出し、哀れな女の夢を叶えてやった。
そして自ら皇帝陛下に奏上し、私との離縁を願い出て、こう言い放った。
「汝には、永遠にこの家の主となる資格はない」
だから私は、離縁状に一瞬の迷いもなく指印を押し、静かに差し出した。
「もう、ご署名は済んでおります」
これで、私たちは解き放たれ、二度と振り返らずに歩み去るだけなのだ。