小説の世界に転生し、夫に見捨てられた端役の私この小説の世界に転生したとき、物語はもうすぐ終幕を迎えようとしていた。
石井蒼夜(いしい そうや)は二番手の男だった。
ヒロインとヒーローがビジネス界の頂点に立ち、彼だけが海外へ姿を消した。
私は作中で白血病の末期を迎えた、目立たない端役にすぎなかった。
なのに、そんな存在感すらなかった私が、蒼夜の妻になった。
ずっとわかっていた。
彼が愛しているのはヒロインだということ。
そして、私の命がいつか尽きるということ。
それでも結婚から三年、彼は細やかに私を気遣ってくれ、大金を投じて治療費を出してくれた。
本当に愛してくれているのかも、と思いかけた矢先、ヒロインが交通事故に遭った。
蒼夜はチャーター機で国内の病院へ駆けつけた。
あの日が私の最期の日だとも知らずに。