偽愛の大雨が止んだ夫がインターンの子とカードゲームで盛り上がった夜、私は離婚を決めた。
夫・九条蓮司(くじょう れんじ)が「ヒモと言われたくない」の一言で、私・水無月真緒(みなづき まお)は三年間、喜んで周囲に結婚を隠し続けていた。
部署の飲み会で、インターンの篠宮柚(しのみや ゆず)がカードゲームを提案した。
【異性と向かい合って膝の上に跨り、十秒間揺れること】
彼女は迷いなく蓮司を選び、甘い笑顔で聞いた。
「九条課長って、彼女いますか?」
少しの沈黙の後、蓮司は周囲のからかい笑いの中で首を振った。
彼女はすぐさま跨り、下唇を噛んで一生懸命に演じてみせた。
その間、彼女の挑発するような視線が何度も私に向けられた。
今度は蓮司がカードを引く番になった。
【最も近くにいる異性と三十秒間キスをすること】
左には柚、右には私。
彼は迷った。私も迷った。