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この言葉に出会ったのは『バガボンド』の宮本武蔵のセリフでした。『しかと見定めた』という表現に、刀の切っ先のような緊張感を覚えたものです。語源を辿ると、戦国時代の合戦で使われた『示し合わせ』から来ているという説があります。
鉄砲隊が『しかと狙え』と命じたり、忍者が『しかと伝令を受けた』と復唱したり。命にかかわる場面で使われたため、『曖昧さの排除』というニュアンスが強く残っています。現代では企業の標語なんかで『しかと行動』と使われることも。
「しかと」という言葉の響きには、何か古風な厳かさが感じられますよね。この言葉は中世の武家社会で使われ始めたと言われていて、『確かに』『しっかりと』という意味で、主に誓いや確認の場面で用いられました。
面白いのは、『しか』が『確』の古語で、『と』は強調を表す接続詞だという説。『武士の一分』のような時代劇で、主君への忠誠を誓うシーンなんかで耳にしたことがあるかもしれません。現代ではあまり日常会話で使われませんが、『しかと承知しました』なんて言うと、ちょっと粋な感じがしますね。
『しかと』の語源を調べていたら、室町時代の能楽師・世阿弥の『風姿花伝』に出てくるのが確認できました。当時は『シカト』と表記され、『確固たる』という意味で芸の極意を説く文脈で使われています。
語源的には『如実(にょじつ)』という仏教語が転じたという説も。坐禅で『しかと見る』という表現があり、対象を曇りなく観察する意味で使われていたのが、次第に日常語になったようです。能や狂言の台本を読むと、この言葉が生き生きと機能しているのが分かります。
古典落語の『子ほめ』に『しかとございます』というフレーズが出てきます。ここでは『間違いありません』という軽妙な肯定の意味。江戸時代には既に滑稽なやり取りにも使われるほど浸透していたんですね。
語源辞典によれば、『強く(shika)+断定(to)』の組み合わせで、漢字では『強登』と書かれた例も。『登』には『明らかになる』の意があり、『明確に認める』という動作が原型のようです。落語や歌舞伎の台本を漁ると、様々なニュアンスで使われているのが興味深いですね。