作品をテーマ別に分解してみると、核は“贖罪と救済”だと僕は解釈している。拓海の行動は過去の選択への償いで貫かれていて、周囲の人物はその償いに対する異なる応答を示す。紗乃は
赦しを提示し、蓮は試練を課し、蒼は拒絶と挑発で拓海を追い詰める。これら三者の応答が主人公の成長曲線を描く上で欠かせない。
物語構成を見ると、過去の事件が断片的に明かされるたびに関係性が揺らぎ、再定義される作りになっている。僕はその編集技術が巧みだと思う。伏線が人間関係に直結していて、読者が一つの真実を知るたびに関係図が書き換えられる感覚があるからだ。
ここで思い出すのは'ソードアート・オンライン'のような、個人の選択が世界観全体に影響を与えるタイプの物語だ。ただし'
架る'はテクニカルな戦闘描写よりも人間関係の変容を重視しており、結果として人物の決断がより重く、読み応えがある。僕はその重厚さが好きで、関係性の一つ一つが物語の倫理を問う役割を担っていると考えている。