読了の順番で整理すると、まずはやはり原作小説の刊行順=本編の巻数に従うのが一番ストレスが少ないです。『
西向く侍』は物語の伏線や人物描写が巻を追うごとに積み重なっていくタイプなので、本編第一巻から順に読んでいくと作者の仕掛けや成長の過程が丁寧に味わえます。個人的には、刊行順で読んで初めて気づける細かい繋がりや台詞回しが好きで、途中で外伝や短編集に飛ぶと体験が分断されてしまうことが多かったです。まずは本編完走を目標にすると、物語の大きな流れを見失わずに済みます。
刊行順の次に考えるべきは外伝・短編集・番外編の扱い方です。多くのシリーズと同じく、『西向く侍』にも本編で描かれなかったエピソードやサイドキャラクターに焦点を当てた作品があります。私は通常、本編を一度読んでから外伝や短編集に手を伸ばす派です。本編で人物や世界観に愛着が湧いた状態で読むと、外伝の些細な掘り下げが何倍も面白く感じられますし、ネタバレに敏感な展開も回避できます。ただし、外伝の中には本編の特定の地点(例えば第3巻の直後など)を前提にしているものがあるので、目次や刊行情報でどの時期の物語かを確認してから読むのが賢明です。
コミカライズや映像化作品については、原作本編の重要な山場を体験した後に触れるのがおすすめです。漫画やドラマ・映画は解釈や省略が入ることが多く、初見でそれらに触れると原作の細かいニュアンスを見落としがちになります。翻訳版や新装版を読む場合は、訳者ノートやあとがきに掲載された刊行順情報をチェックして、原作に忠実な順番で追っていくと混乱が少ないです。私が再読するときは、本編→外伝→コミカライズの順で改めて世界を楽しむことが多いですね。
最後に実用的なコツをひとつ。もし既に全巻の巻数表記や刊行リストが手元にあるなら、そのままの順に並べて読めば間違いありません。途中で短編集を挟むべきか迷ったら、まずはその短編がどの時点の人物関係を前提にしているかを確認してください。物語体験の連続性を大切にしたいなら、本編完走後に外伝やメディア展開を楽しむのが一番楽しめるはずです。じっくり腰を据えて読むと、『西向く侍』の奥深さがぐっと伝わってきます。