読む順を組むときは、物語の流れを優先するのが一番楽しい。まずは『
けんのん』本編を序盤から腰を据えて追うのがいい。序章〜中盤(第1巻〜第8巻相当)は世界観と主要キャラクターの関係性が丁寧に積み上げられているので、そのまま素直に読むと感情の揺れがよく伝わる。僕は最初にこの流れを体験して、登場人物たちの選択が後半で活きるのを強く感じた。
中盤を越えたあたりで外伝『けんのん外伝:朱雀の章』を挟むと、ある人物の過去や動機が深く見えてきて、本編のある事件に対する理解が一層深まる。外伝は単独でも面白いが、本編の伏線と絡めて読むと何倍も味わいが増す。僕はこの順で読んだとき、物語全体の手触りがしっくり来た。
終盤に向かうにつれては本編に戻り、クライマックス(第9巻〜最終巻)を一気に追うのがおすすめだ。最後に短篇集『けんのん短篇選』やエピローグ的な『けんのん外伝:白蓮譚』で余韻を補うとキャラの細やかな表情や補完が効いて、満足感が高まる。こうした流れは感情の起伏を大事にする読み方で、じっくり味わいたい人向けだと感じている。