白きキキョウは光の中へ橘結衣(たちばな ゆい)が柊司(ひいらぎ つかさ)のそばに寄り添って、十年目のことだった。
司が婚約するという知らせと、胃がんの診断書を、結衣が同時に受け取った。
結衣が泣きながら問い詰めると、彼は大勢の前で彼女の最も耐え難い過去を暴露した。
結衣は背を向け、姿を消した。
司は彼女がただ意地を張っているだけだと思い込み、「三日もすれば、遅かれ早かれ土下座して俺のところに泣きついてくるさ」と冷笑した。
しかし、一日、十日、百日と過ぎても……
結衣が再び現れることはなかった。
彼女の命がもう長くないと知った時、彼は狂ったように街中を捜し回った。