ジョーカー役のヒース・レジャーが演じた『ダークナイト』のセリフ『Why so serious?』は、たった一言で不気味な空気を支配する完璧な例だ。
あの低い声と不意打ちのようなタイミング、そして笑いを伴った狂気の表現が、観客の背筋を凍らせる。特に警察署の留置場シーンでは、この台詞だけで彼がどれほど危険な存在かを物語っている。キャラクター造形の妙は、大げさな演出手法ではなく、こうした抑制の効いた表現にあると感じる。
最近の映画では、過剰な説明台詞が増えたように思うが、真に強いキャラクターは沈黙と短い台詞で存在感を示すものだ。