胸が高鳴る瞬間ってあるよね。取材の現場で直に作者の声を聞ける機会は、単純な好奇心以上の価値があると思う。『
笑止千万』の舞台裏には、きっとプロットの転換やキャラクター造形の微妙な決断、ボツ案の山が隠れているはずで、そうした細部を聞くことで作品の見え方が一変することがある。
ただ、取材が持つ力と責任も忘れてはいけない。過度に核心を突けば作者の創作の余地を狭めてしまうし、ネタバレや意図しない解釈の押し付けにつながる恐れもある。だから私は、質問の組み立て方――どこまで掘るか、どの言葉を選ぶか――に妙な興奮を覚える。作者が語る「どうしてあの展開にしたのか」を聞くことで、読む側が新しい視点を得る一方で、作者自身が言葉にすることで自分の足跡を再認識することもある。
最終的には、インタビュアーが敬意を持ちつつ好奇心を丁寧に扱えるかどうかが鍵だ。もしそのバランスがうまく取れれば、私としては直接の対話は歓迎したいし、公開された制作秘話は作品の別の側面を味わう楽しみになる。