小さな
宇宙船が未知の星に激しく
墜ちるシーンから物語は始まる。その瞬間から目が離せなくなったのを覚えている。ぼくは『ピクミン』を遊んだとき、
オリマーというキャラクターが単なる操作キャラ以上の存在だと強く感じた。彼の初登場作での役割は明快で、同時にとても魅力的な設定に支えられているからだ。
ぼくの見立てでは、オリマーはホコタテ社(Hocotate Freight)の宇宙船乗組員で、帰還途中の事故により見慣れない惑星に不時着する。そこは地球に似た環境だが、サイズ感がまったく違い、主人公のオリマーは非常に小さな存在になってしまっている。彼の任務は単純だが緊迫感がある:墜落で失われた船の部品を制限時間内に見つけ出し、自分の宇宙船(脱出ポッド)を修理して帰還すること。ゲーム内では「30日(ゲーム内の日数)」というタイムリミットが設定され、酸素や修理の制約がプレイヤーに緊張感を与える。
オリマーの立場は“指揮官”であり、直接重たい物を運べるわけでも、戦闘に特化しているわけでもない。代わりに彼は回復力の乏しい一風変わったリーダーとして描かれる。初登場作での最大の特徴は、小さくて植物のような生物「ピクミン」を発見し、それを指揮して探索・回収・戦闘にあたらせる点だ。ピクミンは種類ごとに得意な環境や能力があり、オリマーはホイッスルやジェスチャーで指示を出して隊列を作り、障害を乗り越えたり敵と戦わせたりしてパーツを集めていく。最初の作品には赤・黄・青という基本的なタイプが登場し、それぞれ火や電気や水の危険に対応する役割がある。この「操作感」と「指揮の楽しさ」がオリマーを印象深い主人公にしていると思う。
物語の終盤、オリマーが部品を回収して脱出に成功するシーンは、単純な救出劇以上の余韻を残す。未知との出会いと協力、そして小さな命を導くというテーマがしっかり描かれていて、あの初登場作での体験がシリーズ全体のトーンを決めたと感じる。探索と発見の喜び、失敗の悔しさ、そして仲間(ピクミン)への愛着――そういった要素が詰まった導入部は、今でも心に残る名プロローグだ。