エモーショナルでメロウな雰囲気を生かすなら'I'm not yours'が格好の素材になる。ヴォーカルの表情が豊かで、ピアノやストリングス系の伴奏を大胆に差し替えてチルアウト寄りにすると、夜のリスニングセットにすっと馴染むリミックスになる。僕のやり方としては、まず原曲のサビを短くサンプリングしてループ化し、そこにエレクトロニカ的なパッドと柔らかいベースを重ねる。 さらに、途中で一度完全にドライなリズムにしてからフェードインで広がりのあるエフェクトを戻すと、物語性が出る。原曲が持つ繊細さを損なわずに別世界に連れて行けるので、ボーカル編集で魅せるクリエイターにぴったりだと思う。
歌のサビで一気に会場のテンションを引き上げたいなら、まずは盛り上がるフックがはっきりした曲を選ぶのが定石だ。そういう意味で自分がカラオケでよく手に取るのが、ちゃんみなの『I'm a Pop』だ。
曲の構造がシンプルでコールアンドレスポンスが生まれやすく、サビでみんなが一緒に声を出せる瞬間がある。ラップパートで個性を出しつつ、キャッチーなメロディに戻る流れがあるから、歌う側も観客側も疲れにくい。キーが高すぎないので、多少ガヤガヤしていても乗せやすいところもありがたい。
仲間うちでテンションを共有したいとき、イントロで手拍子を促したり、サビの最後をみんなで伸ばして終わるだけでも一体感が生まれる。個人的には、盛り上げたい夜にはまずこれを入れておくと安心するし、歌い終わった後の“盛り上がったね”感が嬉しくてついリピートしてしまう。
80年代の電子的な煌めきに惹かれるなら、まずはシンセやメロディの質感を楽しめる曲を中心に組んでみるといい。僕は若い頃に友人からテープを借りて聴いた経験があって、そのときの胸の高鳴りを今でもプレイリストに反映させている。
リストの核にしたいのは、'Take On Me'(a-ha)の疾走感と高音の美しさ、'Sweet Dreams (Are Made of This)'(Eurythmics)の冷たくも中毒性のあるリフ、そして'Just Can't Get Enough'(Depeche Mode)のポップなシンセが織りなす幸福感。ここに'Don't You Want Me'(The Human League)の物語性を加えると、曲ごとに違う表情が楽しめる。
最後に落ち着いた流れを作るために'Everybody Wants to Rule the World'(Tears for Fears)の余韻を置くとバランスが良くなる。プレイリストは曲順で聴き手の旅路をガイドできるから、始まりは明るめ、途中で深いシンセ曲を挟み、終盤で風通しのいいナンバーにするのがおすすめだ。こうして自分の記憶と感情を呼び覚ます選曲が完成すると思う。