当時の歴史家や植民地期の記録者たちも、神話と史実を混ぜ合わせることで物語を作った。『Historia verdadera de la conquista de la Nueva España』のような初期近代の記録を読み返すと、征服の記録が神話的想像力と結び付き、ケツァルコアトル像が異なる政治的解釈の素材となった過程が垣間見える。現代の政治運動や文化運動でも、彼のイメージはしばしば復権や抵抗の象徴として利用される。私には、それが古代の意味の連続と断絶を同時に示す歴史の面白さだと映る。
この枠組みを用いると、現代メキシコにおけるケツァルコアトル像の揺れ動きが理解しやすくなる。例えば、『El laberinto de la soledad』のような近代文学が先住文化の象徴をどのように取り扱ったかを参照すると、神話がナショナル・アイデンティティの素材になったことが分かる。私は研究論文や現地資料を読みながら、ケツァルコアトルが単なる古代の遺物ではなく、現在進行形で意味を作り替えられている存在だと感じている。