ずっと見続けてきた視点から言うと、
ダリルの対人関係は最終局面のトーンを決定づける重要なピースだったと思う。群れに対する不信と傷つきやすさを抱えつつも、リーダーシップや仲間への忠誠を徐々に育んでいった過程が、結末での彼の選択に深く影響を与えたと感じる。たとえば、集団の存続を優先する場面で見せるためらいのなさは、リックとの信頼関係が積み重なった結果だと受け取れる。『The Walking Dead』全体を通じて、彼が誰を信じ、誰を守るかの基準が揺らぐことはほとんどなく、それが終盤の決断を堅くしている。
次に、親しい相手を失う痛みが彼の行動原理を強めた点も見逃せない。個人的な喪失経験が、復讐や怒りだけでない「守るための冷静さ」を育んだ。仲間のためにリスクを取る場面では、短絡的なヒーロー行動ではなく計算と経験に基づく判断が目立ち、物語の結末ではその冷静さが最終的な被害を下げる効果をもたらしている。
最後に、彼の孤独と連帯感のバランスが、希望を残す終わり方に寄与したと思う。誰かと深い結びつきを持てたことで、単に生き延びるだけでなくこれから先の社会をどう作るかを考える余地が生まれ、物語のラストに人間的な温度を残す結果になったと捉えている。